中川会長からのShort Message 2020.6.4

2020/06/04

退任のご挨拶

本日令和2年6月4日を持ちまして,第106代電気学会会長を退任することとなりました中川聡子でございます。一言退任のご挨拶を申し上げます。

先人たちの熱い思いによって設立された電気学会は,132年の長きにわたり日本の電気工学の発展に大きく貢献して参りました。しかしその間,大戦や震災など度重なる困難に直面し,さらに今,世界規模での新型コロナ・COVID19への対応を余儀なくされております。その蔓延は若干鈍化してきたとは言え,一切の予断を許さない状況にあります。
こういう困難にあるとき,組織の品格が見えるものです。会長就任以来,私は海外でのSpeechに好んで用いるフレーズがあります。『Noblesse Oblige』,つまり,財力でも知力でも地位でも健康でも,何かに恵まれた人は,それに見合う応分の社会貢献をしなさいという意味です。
社会が困難の中にあるとき,我々電気学会は,その学術や技術の力でコロナ後の社会に大きく貢献していく存在でなければなりません。これこそが,私の考える学会としての『Noblesse Oblige』です。

今後の日本は,社会システムそのものが大きく変容するでしょう。であるからこそ,社会基盤を支える電気学術の歩みを,ここで停滞させてはならないのです。電気学会は,その持てる力で,疲弊した社会を電気学術の面から活気づけ,牽引していく集団でなければなりません。
 
1年の任期中,上期は,皆さんのご支援によりアジア諸国や国内の学術団体と緊密な連携を達成できたと思っております。一方下期は,皆さんにご準備頂いた各種の企画を,コロナの影響により直前になって中止の判断をさせて頂いたことは,本当に申し訳なく思っております。しかし,電気学会は新役員の皆さんによって,これからも一層の発展を間違いなく遂げることでしょう。

皆さんからのお話を伺いながら調整を取りつつ全力で事にあたった1年でしたので,私には一切の悔いはございません。この1年間,電気学会活動を誠心誠意支えてくださった皆様に対し,ここに心よりの御礼を申し上げ,退任のご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

令和2年6月4日  第106代電気学会会長 中川 聡子