MC5-1 トランスを含まない帯域通過及び帯域阻止受動複素フィルタの近似的構成
◎河合俊典,庄野和宏(筑波大学)
 近年、複素係数フィルタ(以下、複素フィルタ)に関する様々な構成方法が提案されている。複素フィルタは、負の周波数の概念を扱うことが可能である。従来の提案手法にオートトランスまたはインダクタを用いた手法があるが、トランスは高価であり、また、調節が比較的困難である。この回路に含まれるトランスを等価変換することができるが、負の素子値を持つキャパシタが必要となる。そこで本研究では、このキャパシタを近似的な変換により、正の素子値を持つインダクタに変換してフィルタを構成する。実験回路のインピーダンスは1kΩ、動作周波数は100kHz、 通過域端と阻止域端は、-100kHz~-90kHzとなる複素フィルタを設計した。提案回路は、帯域通過フィルタと帯域阻止フィルタを同時に実現している。さらに実験を通して提案手法の有効性を確認している。