OS7-2 集団内秩序の形成における有力者の役割について
○内田智士(倫理研究所),佐々木達矢(ウィーン大学)
ゲーム理論で用いられるレプリケーターダイナミクスは,マルチエージェントシステムにおける強化学習と関連付けられることが知られている。教室のような閉じた集団内において秩序がどのようにして発展しうるのか,レプリケーターダイナミクスを用いて調べることが本研究の目的である。具体的に,エージェントが強化学習を行いながら集団内秩序を形成していく過程を調べるために,本研究では集団内の秩序を,いわゆる囚人のジレンマが解決されている状態であると定義する。集団内にエージェントの行動・判断に関する異なる価値や規範が存在する中で,少数の有力者(教師や大きな発言力を持つ個人)が存在することで,集団に安定的な秩序が維持されることが判明する。