TC12-4 切断正規分布に基づく行列分解を用いた推薦システム
◎白川真一(筑波大学),高木亮輔,大原剛三(青山学院大学)
近年,ユーザに適した商品や情報を提示する推薦システムに対する要求が増加している.多くの推薦システムでは,対象ユーザの未評価アイテムに対する評価を予測し,その予測値に基づいて情報を提示する.未評価アイテムの評価値を高精度に予測する手法の一つに行列分解に基づく方法が挙げられる.この方法では,評価済みの値から最小二乗法によって評価値行列の分解行列を求め,未評価値に対応する値を補完し予測する.統計モデルの観点からは,最小二乗法による既存手法は,評価値行列が正規分布に基づき生起すると仮定していることになる.しかし多くの場合,評価値は1〜5点など有界であり,評価値の範囲外にも値が分布すると仮定する正規分布はモデルとして適切ではないと考えられる.本研究では確率変数の定義域が有界である切断正規分布を確率モデルとして採用した行列分解法を提案し,評価値予測実験を通してその有効性を検証する.