TC18-1 専門領域を横断的に連携させる新たな専門家の必要性
○森山 剛(東京工芸大学)
現代の行き過ぎた専門化は負の側面をも持ち合わせている。木を見て森を見ずとの諺どおり、問題全体を見ずに各論ばかりに執着するあまり、研究のための研究が横行し、結局、社会に役立つ技術からは程遠い活動に研究リソースが蝕まれていることもある。例えば、需要があるか否かも確認しないまま作られる情報システムの研究、特定の手段(研究者の専門分野)にこだわるあまり、簡易な代替手段を無視して進められる研究、国際的な趨勢を読まずに国内のみで進められる技術標準化の研究がある。本発表では、現在では狭い専門分野に分かれて取り組まれている課題が、実は、曼荼羅における萃点(すいてん)を捉えて課題解決を行うが如く、課題に関連する専門分野を横断的に貫く視点を持つことで解決に至ると考えられる例について議論を行うと共に、今後、そのように専門領域を横断的に連携させる新たな専門家の必要性について述べる。