TC7-2 熱配慮設計による先端MOSトランジスタの高性能化戦略
○内田 建(慶應義塾大学,戦略的創造研究推進事業),高橋綱己(慶應義塾大学)
MOSトランジスタは熱伝導率の良い単結晶シリコン基板上に作製されていることから,チャネルで局所的に発生した熱は即座に基板へ散逸されるため,チャネル温度と基板温度は等しいと考えられてきた.近年,MOSトランジスタの微細化に伴う短チャネル効果(Short Channel Effects: SCE)を抑制するために,立体構造トランジスタや絶縁膜上に作製されたトランジスタが次世代トランジスタとして注目を集めている.このような次世代トランジスタはチャネル下部の電気伝導を抑えることでリーク電流の抑制を図っているが,同時に熱伝導率も劣化してしまい,チャネル温度の上昇が無視出来なくなってきている.チャネル温度の上昇は,性能劣化や信頼性劣化に直結するため,チャネル温度の上昇を抑えることが危急の課題となっている.本講演では,デバイス構造の最適化により,チャネル温度の上昇を抑制し,トランジスタのアナログ特性を向上する試みを紹介する.