時空間情報を活用したモビリティデバイスのスマートネットワーク構築に向けた素子技術とその応用に関する調査専門委員会
現在の5Gの通信システムでは、従来の人と人との通信から、高度なファシリティオートメーションやコネクテッドカーを念頭に、人間が関与しない機器同士の通信(M2M, V2V, D2D etc.)への拡張が意識されています。さらに6Gでは、通信網は通信経路を提供するだけでなく、エッジでのAI処理といった高度な演算処理や、電波伝搬によるセンシングデータの提供も期待され、これらを援用したデバイス間での高度な連携も期待されます。
このような通信環境の大きな変化をユーザの持つ無線デバイスから見てみると、無線デバイスには、自律的に、そして安定に正確な時刻・位置情報を取得・管理する技術(時空間同期技術)が必要となるでしょう。これにより、各無線デバイスに内蔵される高感度センサや高解像な映像情報へ正確な時刻・位置情報の添付が可能となり、これらを集約して得られる膨大な情報を円滑にデジタルツインとしてネットワーク側で再構築し、高度演算処理を行って、ユーザが必要とするタイミングでフィードバックすることも可能となります。
さらに、関連技術を具体的に見ていくならば、ネットワーク側との時空間同期を安定して保持するため、流動するネットワーク構成にフレキシブルに対応して時刻空間情報を取得・推定するアルゴリズムの実装も必要となります。また、時空間情報がネットワークからまったく得られない場合は、スタンドアローンで時空間情報を保持し、動画などの取得データにタイムスタンピングして一時保存する技術や、そのストレージされた情報をネットワークへ復帰したとき、超高速バースト通信等で瞬間的に伝送・演算処理を行う機能も重要になります。
このように考えると、次世代通信に向けては、時空間同期を橋渡し役として多くの技術分野が有機的に連携・連動する体系が見えてきます。本調査専門委員会は、時空間同期基盤を中心とする高度な情報処理基盤を内包した新たなネットワーク環境の構築と、その恩恵をユーザのデバイスへ適切に行き渡らせる技術の開発について、マイクロデバイス技術を出発点にアプリケージョンを意識した動向調査を実施し、新産業の創出に繋げるべく議論を深めていきたいと考えています。

技術分野のキーワード
MEMS/NEMS, フィジカルセンサ(機械量, 電気・時期, 光・放射線など), 光応用デバイス, 発振器などの高周波制御素子, 超高周波通信, エナジーハーベスティング, IoT, デジタルツイン, 環境センシング委員リスト
*2024年度委員会役職 | 会員氏名 | 勤務先名 | 備考 |
委員長 | 原 基揚 | 情報通信研究機構 | |
副委員長 | 戸田 雅也 | 東北大学 | |
委員 | 磯谷 亮介 | セイコーフューチャークリエーション株式会社 | |
委員 | 田川 秀樹 | 太陽誘電株式会社 | |
委員 | 竹内 秀光 | TDK株式会社 | |
委員 | 冨森 英樹 | 富士通株式会社 | |
委員 | 倉島 優一 | 産業技術総合研究所 | |
委員 | 中村 弘幸 | Maxscend Technology JAPAN株式会社 | |
委員 | 野田 堅太郎 | 富山県立大学 | |
委員 | 野村 忠之 | 株式会社村田製作所 | |
委員 | 畑 良幸 | 名城大学 | |
委員 | 溝尻 瑞枝 | 長岡技術科学大学 | |
委員 | 村上 修一 | (地独)大阪産業技術研究所 | |
委員 | 山田 駿介 | 九州工業大学 | |
委員 | 山根 大輔 | 立命館大学 | |
委員 | 山本 俊太郎 | 信州大学 | |
委員 | 吉田 慎哉 | 芝浦工業大学 | |
委員 | 年吉 洋 | 東京大学 | オブザーバ |
幹事 | 本間 浩章 | 神戸大学 | |
幹事 | 神田 健介 | 兵庫県立大学 |
活動
本調査専門委員会では,年4回程度、定期的に委員が集まります。また、技術委員会や他の調査専門委員会と連携しつつ,研究会や見学会など独自の調査活動を実施します。
・2024/7/17 第1回 調査専門委員会および研究会(東京 日本橋)
・2024/10/31 第2回 調査専門委員会および研究会(大阪 茨木)
・2024/11/27 第3回 調査専門委員会(仙台)
・2024/12/19 合同研究会(鹿児島)
お知らせ
・2025/3/18 電気学会全国大会 当委員会の企画セッションを開催