注目論文(ものづくり技術)

タイトル 人中心型の次世代生産システム構築に向けて
著者 姉崎 隆, 秦 清治
巻号 電学論D 126巻11号(2006年)
推薦理由

本解説は、生産システムのあり方が、従来の自動化追求から、ヒューマンファクターが重視されるようになってきた背景を受けて、IMS-HUTOPプロジェクトで取り組まれた様々な研究内容を中心に、次世代生産システムの一形態として、ヒューマンファクターを考慮した、人中心型の生産システムについて展望している。

執筆から約10年経過して、すでに実際の生産システムに適用されている取り組みもあるが、今後の生産システムのあり方を考える上で、一読する価値があると思われる。

タイトル インバータ駆動非接地モータの軸電圧とベアリング電流の解析
著者 田上 耕太郎,小笠原 悟司,船渡 寛人,金澤 秀俊,植杉 通可,茂泉 健一
巻号 電学論D 127巻3号(2007年)
推薦理由

近年インバータパワー素子の能力向上に伴い、パワー素子スイッチングのdv/dtが大きくなっている。また、PWM制御におけるモータ巻線中性点電位の発生に伴う軸電圧やベアリング電流の発生があり、状況によっては電食などのトラブルを及ぼす事例がある。

本論文は、従来起こり難いと考えられてきたインバータ駆動非接地モータにおける軸電圧とベアリング電流の発生・解析を実験及びシミュレーションモデルの構築により、三相モータ巻線のインダクタンスや浮遊静電容量の非対称性ならびにこれらの共振現象に起因して発生することを紹介している。電食問題への解決の一助となる可能性があり興味深い。

また、あわせて127巻2号の「接地系におけるノイズ伝搬の可視化」も一読しておきたい。


タイトル 流体モデルを用いた自律移動ロボットの軌道追従制御
著者 宮田 淳一, 村上 俊之
巻号

電学論D 127巻3号(2007年)

推薦理由

近年、自律型移動車の実現が望まれており、特に人のアシストを目的とした医療分野での期待は大きい。

本論文は、移動車の経路の滑らかさ及び環境の変動を考慮した自律移動手法を紹介している。特に所望の軌道に応じた時間スプライン近似による動作指令や流体モデルによる障害物回避などの手法を提案しており、シミュレーション及び実験による結果もあわせて報告している。現状、既知の環境下での条件ではあるが、環境構築により自律走行への範囲拡張が期待でき興味深い。


タイトル 流体モデルを用いた自律移動ロボットの軌道追従制御
著者 宮田 淳一, 村上 俊之
巻号

電学論D 127巻3号(2007年)

推薦理由

近年、自律型移動車の実現が望まれており、特に人のアシストを目的とした医療分野での期待は大きい。

本論文は、移動車の経路の滑らかさ及び環境の変動を考慮した自律移動手法を紹介している。特に所望の軌道に応じた時間スプライン近似による動作指令や流体モデルによる障害物回避などの手法を提案しており、シミュレーション及び実験による結果もあわせて報告している。現状、既知の環境下での条件ではあるが、環境構築により自律走行への範囲拡張が期待でき興味深い。


タイトル ニューラルネットワークを用いた誘導電動機設計支援システムの開発
著者 池田 雅博,中山 誠章,檜山 隆
巻号

電学論D 125巻1号(2005年)

推薦理由

近年、ドイツのインダストリー4.0に端を発し、アメリカではインダストリアルネットワーク、中国では中国製造2025、日本でもコネクテッドインダストリーズが提唱されている。細かな取組みは異なるものの、共にIoT(Internet of Things)により社会全体で最適化を図る取組みであり、人口知能(Ai)、ネットワーク技術の向上や労働生産人口の減少などが背景に挙げられる。

本論文では、誘導電動機の設計支援システムをニューラルネットワークを使って開発し、設計効率の向上と人手不足の解消といった問題の解決を実現したことを紹介している。10年以上前の論文ではあるが、現在においても各種取組みが行われていること、またいろいろな分野に同様の考え方が導入できることから、再度、今何ができるのかを考え直す機会として本論文を紹介したい。


タイトル インバータ駆動モータにおけるケーブル結線方式のサージに与える影響
著者 和田 耕太郎,辻 孝誠,武藤 浩隆,八代 長生
巻号

電学論D 127巻11号(2007年)

推薦理由

電動機をインバータ駆動する場合,サージに対する十分な検討に基づいた絶縁設計をしなければ,レアショートや地絡などの重大事故が生じる危険がある。

本論文では,ケーブル結線方式がサージ電圧に与える影響についての検討結果を報告するとともに,サージ抑制方法についても提案している。接地線に対して非対称なケーブルを用いた場合には,接地線と各相給電線間の静電容量が異なることにより,静電容量が最も小さい相の対地サージ,第一コイル分担電圧が他相に比べて大きくなることを実験および解析で確認している。そして,サージ抑制方法として,(1)対象構造をもつ3心シールドケーブルを使用すること,非対称なケーブルを使用する場合には,(2)接地線を給電線と別ケーブルにすること,(3)電動機端またはインバータ端において,対地静電容量が低い相と対地間にコンデンサを追加することを提案している。

サージ抑制方法が,新たにケーブルを敷設する場合に限らず、既にケーブルが敷設されている場合にも適用できるため,その適用機会は多く実用的であり,トラブル解決の一助となる。


タイトル ゲート波形制御によるIGBT短絡保護方式の検討
著者 笹川 清明,阿部 康,松瀬 貢規
巻号

電学論D 127巻5号(2007年)

推薦理由

近年IGBTは,電圧駆動型であり小駆動電力,比較的小さい発生損失,広い安全動作領域をもちスナバレスが可能,などの長所があり,多くのインバータ機種に適用されている。その一方で,電源短絡が発生した場合,IGBTには素子特性に従って定格電流の5~10倍の短絡電流が流れ,かつ電源電圧が印加される可能性がある。このときIGBTの内部には,非常に大きなエネルギーが発生することから,これが許容限界値を超えた時,素子破壊が発生し,更に連鎖的に素子破壊が拡大する。

本論文では,高圧・大容量のインバータに適した短絡保護方式と,電圧や容量が比較的小さいインバータに適した短絡保護方式について提案し,その有用性について検証している。前者の方式は,装置条件に対して最適化したIGBTのゲート波形をあらかじめ成形し,これに追従させて短絡電流の遮断波形を制御する。後者の方式は,IGBTのエミッタ端子とゲート駆動用のエミッタ端子の間にインダクタンスを挿入するのみの非常に簡単な回路構成で,保護を実現する。

提案されている2つの方式により,小容量から大容量まで幅広い容量のインバータに最適な保護回路を適用することが可能であり,その有用性は高く,興味深い。


タイトル 軸ねじり振動系をもつ圧延用可変速電動機に対するホワイトノイズ利用のオンライン伝達関数解析についての一考察
著者

玉置 寿文,高根沢 真,木許 雅則,森田 登,星野 毅夫,橋爪 健次

巻号

電学論D 131巻6号(2011年)

推薦理由

圧延用交流可変速電動機が本格的に普及しはじめた1990年以降は,板の厚み精度向上の要求から,速度制御系の高応答化調整が実施されるようになった。その結果,圧延ロールと電動機間の軸系のねじり振動との共振とみられる事例が現れるようになり,「バンドカットフィルタ」を挿入するなど,各種の対策が実施されてきている。そして,ねじり振動の抑制効果を確認するため,ドライブ制御装置の現地調整時にホワイトノイズを速度基準信号に重畳して,速度制御の伝達関数(周波数応答)を実測することが行われている。

本論文では,ホワイトノイズを重畳して行う運転が電動機本体の機械的強度に及ぼす影響と速度制御の伝達関数の実測精度について各種解析を行っている。解析によって,ホワイトノイズ信号のレベルと伝達関数の実測精度の関係を明らかにするとともに,ホワイトノイズの入力量によっては過大な接線方向加速度が電動機回転子外周に発生することを明らかにし,ホワイトノイズレベルの推奨値を示している。

本論文は,上述の研究結果に加えて,熱間・冷間の圧延設備の歴史的変遷も紹介されていて,とても興味深い。


タイトル 温度調節計の雑音に乱された応答からのセルフチューニング
著者 濱根 洋人, 兵働 善一, 林 洋一, 宮崎 一善
巻号 電学論D,Vol. 126, No. 6, pp. 756-763, 2006
推薦理由 本論文は、汎用型の温度調節計のセルフチューニング機能について、チューニング中に雑音や外乱が印加されても、調整を達成する手法を提案し、その提案法について、実験により検証している。調節計のチューニングを行う上での基本的な課題や留意点を理解する上でも、良い論文であると思われる。

タイトル 鉄道におけるドアシステムへの人間/機械安全作業システムの適用
著者 森貞 晃, 小林 孝之, 蓬原 弘一
巻号 電学論D,Vol. 125, No. 9, pp. 839-846, 2005
推薦理由 ものづくりの現場において、安全の重要性は一段と増している。一方で、現場の熟練作業員の減少等により、安全に関するノウハウの維持・継承が難しくなり、設備・機械側で安全に関する対処を行う「機械安全」の考え方も重要になってきた。本論文は、鉄道におけるドアシステムを題材に、人間と機械の関係を身近な旅客と列車の関係に置き換えて、ドアシステム制御のためのインタロック条件を検討している。この検討アプローチは、ものづくりの現場における「機械安全」を考える上でも興味深く、参考になると思われる。

タイトル 三相4線式低圧配電系統の電圧ひずみと3次高調波電圧抑制法
著者 和田 圭二, 井上 重徳, 清水 敏久
巻号 電学論D,Vol. 123, No. 8, pp. 942-948, 2003
推薦理由 対三相4線式低圧配電系統における電源品質の現状調査とその改善法について執筆。単相100V系統の電源高調波ひずみについて3次と5次高調波電圧を測定し3次が支配的であることを確認, 3次高調波電圧を抑制する制御法についてシミュレーション, 実験により有効性を明らかにしている。電圧波形改善の基礎的技術として一読する価値ありと思われる。

タイトル 原子力発電所運転訓練時の訓練員の検出と姿勢認識
著者 中島 慶人
巻号 電学論D,Vol. 125, No. 1, pp. 60-66, 2005
推薦理由 訓練動作姿勢である「監視」「操作」「指差し確認」「電話」動作の画像に処理を加え、安定した認識をすることについて執筆されている。執筆から10年を経過し画質, 解析技術も大きく進歩したが, 基本技術として理解するには良い論文であると評する。

タイトル エネルギー供給システム最適運転計画問題の自動定式化手法
著者 鈴木 直彦, 上田 隆美, 笹川 耕一
巻号 電学論D,Vol. 124, No. 4, pp. 366-372, 2004
推薦理由 分散電源を含むエネルギー供給システムの総エネルギーコスト等を最小化した最適運転計画の手法として, 混合整数線形計画(MILP)による解法が提案されているが定式化は複雑であり, システムの変更があった場合作業者が容易に定式化するのは難しい。本論文では機器の特性値, エネルギー需要データ, エネルギーコストから自動的に定式化しエネルギー供給システムの最適運転計画を求めることを検証している。BCP対応含め複数の電源設備を保有している需要家にとって, どういうパラメータが運転計画に有効になるのか参考になる論文と思う。