注目論文(PPE技術)

タイトル 公共プラントとパソコン応用 -その光と影-
著者 新 誠一,中里 卓治
巻号 電学論D 121巻10号 pp.1011-1016 2001
推薦理由

本論分は上下水道をはじめとする公共プラントの監視制御システムについて述べている。

昨今のコンピュータ技術の発展と変化は,公共プラントの監視制御分野にも大きな影響を及ぼしている。いわゆるオープンなシステムのメリットとして,情報の高度活用が可能になる,EUC(End User Computing)が可能になる,マルチベンダシステムの構築が可能になる,システムへの理解度が増すなどが挙げられている。一方でハードウェアおよびソフトウェアの品質問題,バージョン・レビジョン管理の問題,マルチベンダシステムにおけるシステム全体管理の問題などの課題も抱えている。

ここではこれらに対して,どういった点に期待をし,どういった点に不安を抱いているのか,そしてどういう対策を期待しているか,または割り切りをしているか,などについてアンケート調査を行い,162箇所のユーザから回答を得た結果を紹介している。

また,経済的にシステムを構築できることをユーザにとってのリターン,システムの信頼性や安全性,維持管理負担などをユーザにとってのリスクと捉え,この両者の関係性について整理し,最終的にユーザとメーカによる“ハイブリットシステム”の実現を提案している。

このように,本論文は公共施設が持つ課題をユーザの視点から整理した貴重な内容であり完成度の高い論文であることから,注目論文として推薦する。