注目論文(スマートファシリティ技術)

タイトル ビル空調電力FastADRと室温副作用の状態空間モデル開発と系統給電指令追従評価への適用例
著者 蜷川忠三,衣笠仁,高浜盛雄
巻号 電学論D,Vol. 138, No. 6, pp. 538-545, 2018
推薦理由 省エネと快適性を両立したビルの空調制御は近年においても重要なテーマである。本論文は,快適性指標であるPMV(Predicted Mean Vote)をニューラルネットワークにより学習し,空調設定値をリアルタイムに制御する手法を提案している。快適性を担保しながら省エネルギー化を実現できることがシミュレーションと実験により示されている。近年,ディープラーニング(深層学習)技術が各種分野に適用されるようになってきており,将来のビル空調システムにおいても有用な要素技術となることが期待される。

タイトル 高電圧系インタフェース地絡要因の特徴抽出による多段階判定法
著者 西村 和則, 丸井 雄策, 砂山 渡
巻号 電学論D,Vol. 138, No. 3, pp. 206-211, 2018
推薦理由 近年,AIやIoTなどの技術が飛躍的に向上している。従来,需要設備の保全は毎月の人の五感による保守が主たる手法であったが,これらの情報技術を用いることにより,過去の保全膨大なデータを活用して,経験値を含む設備診断が可能となる。同時に,供給設備のように強靱な保全システムを構築することなく,需要設備にも低コストで導入容易な実現性の高いものになる。このことは,需要設備の保全において,まったく新しい価値を創造することとなり,現状の保全のみならず,将来の設備更新計画など,多角的データの有用化を可能とする革新的な保全につながることを意味している。

タイトル 改良近傍スケジュール生成法を用いた改良型並列Reactive Hybrid Particle Swarm Optimizationによる最適生産計画とエネルギープラント最適運用計画の統合最適化
著者 川口 嵩平, 福山 良和 
巻号 電学論D,Vol. 139, No. 12, pp. 1005-1014, 2019
推薦理由

環境や社会に貢献する需要家設備の実現において,省エネルギー化,利便性・安全性の向上,コスト削減など多面的なスマート化への取り組みが必要である。

本論文は,工場における生産の効率化と省エネルギー化を統合した最適計画を得るためのアルゴリズムに関する研究成果である。今後も,スマートコミュニティ・スマートシティにおける複合的なニーズを数理問題として解くアプローチはますます重要になると期待する。

タイトル 快適性指標による省エネルギー型ビル空調制御システムの実用化技術
著者 山田 富美夫, 米沢 憲造, 菅原 進, 西村 信孝
巻号 電学論D,Vol. 119, No. 11, pp. 1377-1385, 1999
推薦理由 省エネと快適性を両立したビルの空調制御は近年においても重要なテーマである。本論文は,快適性指標であるPMV(Predicted Mean Vote)をニューラルネットワークにより学習し,空調設定値をリアルタイムに制御する手法を提案している。快適性を担保しながら省エネルギー化を実現できることがシミュレーションと実験により示されている。近年,ディープラーニング(深層学習)技術が各種分野に適用されるようになってきており,将来のビル空調システムにおいても有用な要素技術となることが期待される。

タイトル エネルギー供給システム最適運転計画問題の自動定式化手法
著者 鈴木 直彦, 上田 隆美, 笹川 耕一
巻号 電学論D,Vol. 124, No. 4, pp. 366-372, 2004
推薦理由 需要家におけるエネルギー供給,負荷設備などの最適運用計画,およびその元となるマスターデータの簡易入力は近年においても重要なテーマである。本論文は,計算に必要となる全変数,全制約式を定義することなく,機器特性値,需要データ,コストから混合整数線形計画問題を自動的に定式化する手法を提案している。Webアプリケーションサーバ上での実験により,作業者が容易に理解可能なデータを入力するのみで,様々なエネルギー供給システムに対する最適運転計画が得られることが示されている。近年,ビッグデータの利活用技術が注目されているように,提案手法は今後複雑化していくエネルギーシステムの全体最適化において有用な要素技術となることが期待される。

タイトル 経済性とリスクを考慮した設備保全計画策定支援システムの開発
著者 北山 匡史, 仲林 見幸, 松原 龍之介, 泉井 良夫, 南部 雅彦, 池田 郁夫, 渡邉 政美
巻号 電学論D,Vol. 124, No. 9, pp. 968-974, 2004
推薦理由 近年,スマートメンテナンス技術の必要性が増している中で,最適制御技術だけでなく,保全技術の高度化が重要なテーマとなっている。本論文は,信頼性を定量的に評価して保全周期を決定する設備保全計画策定支援システムを提案している。現場技術者も理解しやすいシステムとなっており,有用性が高い。また,本論文では,作成する故障モデルから故障被害額を算出し,システム全体での総コストを最小にする保全計画を立案する手法を提案している。よって経営層への説得力も十分あり,現場技術者がスムーズに保全を進める上での助けとなることが期待できる。さらには,故障モデルの作成に過去から現在までの実際の保全データを用いれば,より精度が高い実用的なシステムを構築できるため,今後も必要とされる手法である。