注目論文(交通・電気鉄道技術)

タイトル 多重式正弦波出力電流形GTOインバータ
著者 上田 茂太, 本部 光幸, 本田 一男, 植田 明照, 川上 直衛
巻号 電学論D,Vol. 111, No. 8, p. 645-653 , 1991
推薦理由 交流可変速駆動を車両へ応用するには装置の大容量化が必要であるが、大容量化とともに許容スイッチング周波数は低下し、高調波成分が多く含まれるため、出力電圧電流波形をほぼ正弦波に保つことは困難である。
本論文では、大容量化時の上記問題点を解決できる多重式正弦波出力GTOインバータについて検討している。
鉄道車両で広く実用化された技術という観点から、学生、技術者、研究者に参考となるものである。

タイトル 新都市交通用リニア誘導モータの設計について
著者 野中 作太郎, 樋口 剛
巻号 電学論D,Vol. 111, No. 7, pp. 555-562, 1991
推薦理由 リニア誘導モータで推進する新都市交通システムは、新しいシステム技術であるため最適設計法および最適制御法が確率されていない。本論文では、新都市交通システム用SLIM(片側式リニア誘導モータ)の設計、特性算定、走行シミュレーションを行い、定格速度の設定および設計パラメータの選定に関する各種データを明らかにしている。我が国の新規開業地下鉄の主流となっている新都市交通用リニアモータに関する論文として、学生、技術者、研究者に参考となるものである。

タイトル 新幹線切替え用真空開閉器の高周波再発弧振動と抑制
著者 持永 芳文, 安喰 浩司, 石川 栄, 岡田 忠宜, 船路 卓男
巻号 電学論D,Vol. 111, No. 9, pp. 777-784 , 1991
推薦理由 切替え用真空開閉器の投入時に発生する高周再発弧振動に伴う、変圧器の内部共振による電圧の拡大については、従来検討がなされていなかった。
本論文は、この現象について解析すると共に、対策として、切替えセクションにコンデンサCと抵抗Rの直列回路からなるCR振動抑制装置を設置することについて検討している。新幹線設備に広く実用化されているCR振動抑制装置に関する研究として、技術者、研究者に参考となるものである。

タイトル PWMコンバータを用いた高性能交流車両システムの検討
著者 石川 栄, 田中 茂, 多田隅 進, 高原 英明
巻号 電学論D,Vol. 107, No. 3, pp. 304-311, 1987
推薦理由 新幹線は, 0系から100系まで焼く20年間に渡って直流電動機が用いられてきた。しかし, PWMコンバータとVVVFインバータによる制御方式の確立により交流電動機を用いることができるようになってきた。これにより駆動電動機の小形軽量化, 出力/重量比の増大が可能となった。本論文は, 交流電動機を新幹線で採用すべく試作モデルの実験, 車両方式の検討として設計条件等が示されており, 学生, 技術者, 研究者に参考となるものである。

タイトル 運転時間の簡略計算法を用いた新幹線各駅停車列車省エネルギー運転制御システムの開発
著者 保川 忍, 藤田 信一郎
巻号 電学論D,Vol. 107, No. 5, pp. 665-672, 1987
推薦理由 電車の省エネルギー運転方法に関する研究は現在も進められているものの, その先駆けとなった一連の研究のうちの1つが本研究である。省エネルギー運転方式を提案し, それに基づいた解析, 走行試験が行われており, 学生, 技術者, 研究者に参考となるものである。

タイトル 直流電気鉄道における上下線一括き電方式
著者 秦泉寺 敏正, 吉舗 幸信, 大塚 克昌, 浅野 伸也
巻号 電学論D,Vol. 107, No. 8, pp. 1057-1064, 1987
推薦理由 上下線一括き電方式は, き電用遮断器の削減による経済性の向上, き電回路の電圧効果対策回生失効の軽減などの利点があり, 関西圏の私鉄で現在も使用されている。本論文は, 上下線一括き電方式の解説だけでなく, 故障検出能力, 消費電力のシミュレーションも行っており, 学生, 技術者, 研究者に参考となるものである。