半導体電力変換に関する質問(10)

よくある質問

半導体電力変換に関する質問(10)

10)サイクロコンバータとマトリクスコンバータの違いについて教えてください

どちらも,交流電力を直接スイッチングすることで異なる周波数の交流電力を生成するという機能は同じです。大きな違いはサイクロコンバータが片方向に導通性をもった片方向スイッチを用いるのに対し,マトリクスコンバータは双方向の導通性を持つ双方向スイッチを用います。
サイクロコンバータで主に使われるスイッチング素子はサイリスタであり,3相-3相交流電力変換をする場合には正側の出力電圧を生成する6つの片方向スイッチと負側の出力電圧を生成する6つの片方向スイッチで構成されます。
一方でマトリクスコンバータは3相-3相交流電力変換を前提としており,9つの双方向スイッチで3相交流電力を生成できます。
マトリクスコンバータに,サイクロコンバータと同様のサイリスタを用いた場合には,一つの双方向スイッチを構成するために整流素子とスイッチング素子を複数用いなければいけませんでした。しかし双方向スイッチに適した逆阻止IGBTなどの新たなスイッチングデバイスの登場に合わせて,マトリクスコンバータは注目されるようになり,デバイスの応答性の向上と合わせて制御による電力変換性能向上が期待されています。