活躍する女性エンジニアたち、電気系職場の今を語る(第1回)

活躍する女性エンジニアたち、電気系職場の今を語る(第1回)
活躍する女性エンジニアたち、電気系職場の今を語る(第1回)
女性の活躍の場は拡大、受け入れ体制も確実に整備
理系職場の中でも、電気系はこれまで特に女性が少ない職場でした。ただし、近年、女性の数は増える傾向にあります。電気系技術の応用が急拡大していく中、研究や技術・製品開発での女性の視点はますます重要になることでしょう。電気学会では、電気系女子が集まる場「女性エンジニアの会」を設け、同じ悩み・思いを持つ者同士が知り合い、新たな気付きを得る機会を作り出しています。今回、業界も立場も違う電気系女性エンジニア3人が、東海大学の稲森真美子准教授の司会で、職場の中での苦労や感じるやりがい、将来の展望などについて語り合いました。ここでは、その様子を3回に分けてお届けします。第1回の今回は、電気系女性エンジニアの現在の職場環境について議論しました。

座談会参加者

  • 東芝インフラシステムズ株式会社

    水谷 麻美さん
    みずたに まみ

    インフラシステム技術開発センター
    技監
    博士(工学)

  • 東日本旅客鉄道株式会社

    中島 志穂さん
    なかじま しほ

    東京電気システム開発工事事務所 品川電気システム工事区
    電車線科

  • 株式会社安川電機

    三松 沙織さん
    みまつ さおり

    技術開発本部
    つくば研究所 先端技術グループ

司会

  • 東海大学

    稲森 真美子さん
    いなもり まみこ

    工学部
    電気電子工学科
    准教授
    博士(工学)

活躍する女性エンジニアたち、電気系職場の今を語る(第1回)

リケジョを惹きつける、モノを作り上げる電気系職場の魅力

— 稲森:現在、みなさんが携わっているお仕事についてお聞かせください。

三松:私は、産業用ロボットやモータなどモーション制御関連の製品を扱う安川電機の技術開発本部 つくば研究所に在籍しています。2019年以前には、開発研究所のパワーエレクトロニクス技術部に所属し、パワー回路技術に携わっていました。電気学会の産業応用部門に参加し始めたのはその頃のことです。つくば研究所に異動してからは、主にメカトロニクス技術を応用した新規事業に携わっています。

中島:私は、JR東日本の電気部門の工事に関わる部署に所属しています。会社に入社して約20年経ちました。大学時代には、電気工学の強電関係の研究室にいました。今、携わっている仕事は、線路内にある、電車への電力供給設備を作る仕事です。工事に関わる事務所の工事区というところで、現場監督や工事の出来栄えの確認、工程管理などを担当しています。

水谷:私は、東芝インフラシステムズの電機応用パワエレシステム開発部に長く所属していました。大学時代には物理学を専攻していたのですが、パワエレ技術者として東芝に入社しました。入社した当初は、大学での勉強がほとんど役に立たず、最初の1年間はほとんど勉強に費やしたような状態でした。現在は、東芝の研究所の中でも製品群の製品開発に一番近い技術開発センターの技監として、変換器関係のパワエレ関連機器と蓄電池システムの開発に携わっています。

— 稲森:電気学会は、広範な応用分野を包含している学会です。それを反映して、みなさん、それぞれ異なる業界にいるということです。大学時代の専攻が必ずしも電気工学ではない人もいますが、そもそもなぜ電気工学を扱う企業を就職先として選んだのでしょうか。

三松:私は、学生時代の専門が生物学だったので、電気工学とは畑違いの分野の出身だと言えます。細胞の培養や顕微鏡によるイメージングを行っていました。しかし、超高性能の顕微鏡を扱う中で、だんだんと光学やメカといった工学技術の重要性を知り、実際にその境界領域で仕事をしてみたいという思いが膨らみました。その時、たまたま安川電機が、実験用ロボットや植物工場の自動化などのライフサイエンス分野に挑もうとしていることを知り、就職のきっかけとなりました。入社後は、しばらくパワー回路の技術部門にいたのですが、そのときに学んだ電気やモータに関する知識は、今の部署においても役立っていると思います。

中島:今回の参加者の中では、唯一私だけが、大学時代での専攻に近い仕事をしているのかもしれません。送電設備に使われる碍子に黄砂などで汚れた雪が積もると放電して壊れてしまうことがあるのですが、大学時代には、そうした現象について電力会社と一緒に研究していました。研究の中で、電力会社の仕事に興味を持ち、その延長線上でJRも自前の電力設備を持っていることを知り、実際に入社試験を受けて採用していただきました。鉄道会社に就職したというと、電車が好きなのではと思われがちなのですが、そうでもありません。会社の中では今現在も電車に詳しくない人がほとんどです。

水谷:私は、元々、先生になりたかったのです。そこで、大学4年生の8月に高校の物理の教員試験を受けたのですが、狭き門で受かりませんでした。落ちた後に先生のところに行って、まだ余っている就職先はないか聞いてみたのです。幸運なことに私の学生時代はバブルの全盛期で、大学4年生の夏を過ぎた活動でも就職できる恵まれた時代でした。できれば自宅から通えるところがいいなんて、その期に及んでぜいたくな条件を出したりもしたのですが、まだ東芝が募集していることを教えてくれて、早速訪ねてみることにしました。そこがパワエレ関連の部署だったのです。
後からわかったことですが、当時、その部門では、女性を一定数採用する方針があったらしいのです。しかし、みんな別の部署に逃げられてしまい、最後に飛び込んできたのが私だったというわけです。先輩の女性社員が何人かいたのですが、絶対に逃さないという感じで囲まれて、仕事の素晴らしさを熱心に説かれたことを覚えています。ただ、私自身は必ずしも及び腰だったわけではありませんでした。訪れた府中事業所では鉄道などを作っているのですが、動くモノを扱う部署を見て、面白そうだなと感じていました。