活躍する女性エンジニアたち、電気系職場の今を語る(第1回)-2ページ目
女性が働く環境は着実に整いつつある、少ないことにはメリットも
— 稲森:現在の職場には、他に女性エンジニアはいるのでしょうか。
中島:私の在籍する工事区には50人くらい社員がいますが、そのうち6人が女性です。この状況は、かつての状態と比べたら隔世の感があります。私が入社した時には、約300人いる事務所に女性は私1人だけでした。出張先では、制服に着替えるための更衣室や仮眠を取る女性用休憩室もないところがありました。出張先でトイレに行きたくなっても女性トイレがない際には、男性上司が「俺がドアのところに立って見張っているから行っていいよ」と言われたりした恥ずかしかった思い出もあります。今はどこの職場にも女性がいるので、更衣室もあるし、もちろんトイレもあります。
三松:そんな状況だったのですか。びっくりです。
中島:その一方で、女性の数が少ないので、とても大事にしてもらった印象はあると思います。そもそも、私が今の仕事を選んだのは女子が少なかったこともあります。当時は較べられる相手がいなかったので何を言っても、「女子って、そんなものなのだ」と寛容に納得してくれたように思えます。ただこれは、理解のある上司や同僚に巡り会えることが、大前提になるとは思いますが。
— 稲森:ある意味、JR東日本の現場では、中島さんがいたから、後に続く女性が入りやすくなった面がありそうです。
中島:私より先に入社した先輩方がいたので、その功績が大きいです。入社当時、駅には女性社員がいたのですが、電気系の女性社員は累計で10人程度でした。最初の先輩方10人が切り拓いた道を、私たちが少し広げてきたという感じです。
— 稲森:女性が少ないと、何かと苦労が多いのではないかと心配になるのですが、ものは考えようで良い面もあります。参考になるポジティブシンキングです。これまでの自分を振り返ってみると、確かに、言いたいことを理解してもらえるチャンスは多かったような気がします。
三松:トイレもないような状況は、今では考えられません。私の会社も昔は女性が少なかったと聞いていますが、きっと同様に開拓者がいると思います。
稲森:今は、環境が整備されて、しかも女性の方が少ない職場が多いですから、男性よりも恵まれている面が出てきているといえます。例えば、資格試験の時にトイレに並ばなくていいので、休み時間が有効に使えています。
水谷:私も、入社したての無知だった頃、本当に辛抱強く育ててもらったように感じています。私は、もうひとりマスター卒の電気工学を専攻した人と一緒に入ったのですが、私は物理専攻の学部卒で、電気のことなど何もわからない状況でした。向こうはどんどん先に進みますが、私は、当時の上司がつきっきりマンツーマンでパワエレの何たるかを1日2時間くらい時間を割いて教えてくれました。とても助かりました。女子だからというよりも、早く使い物になるようにしないとまずいと思っていたのかもしれませんが。