令和2年 電力・エネルギー部門「研究・技術功労賞」受賞者

2020/09/28

電力・エネルギー部門(B部門)では,長年,地道な活動を続けてこられ,技術の発展に貢献された研究者または技術者の方々の労に報いるとともに,電力・エネルギー分野技術の更なる発展を図ることを目的とし,平成18年から,部門表彰制度として「研究・技術功労賞」を新たに設けております。

研究調査運営委員会および部門役員会での審査の結果,令和2年の受賞者は,次の2名の方に決定いたしました。受賞者は,オンラインで開催されました令和2年電力・エネルギー部門大会(9月10日)にて紹介されました。

件名 受賞者 受賞理由
「長年にわたる電気学会での活動ならびに保護リレーシステムに関する標準化および技術発展への貢献」 臼井 正司 殿
〔三菱電機(株)〕
45年以上にわたって電力系統の保護リレーシステム開発に従事するなか,電気学会において,25年以上もの長きにわたり,保護リレーシステムに関する標準化委員会,技術委員会および多数の調査専門委員会に参画してきた。

長年の活動を通じて標準化活動および技術調査活動に精力的に携わり,国内保護リレーシステム技術の進歩・発展に大きく貢献した。

また,本分野における専門用語の標準化を図るための活動に精力的に取り組み,電気専門用語集「保護リレー装置」を新たに作成,これに関わる数多くの執筆をはじめ,電気学会各種大会・研究会等において広く情報発信するなど,国内技術者に対する啓蒙活動にも尽力してきた。

「分散形電源の系統連系に関する研究開発への貢献」 松田 勝弘 殿
〔東北電力(株)〕
長年にわたり分散形電源の系統連系に対する課題解決に取り組み,配電系統の安定運用に資する系統解析・運用技術,対策機器の研究開発に貢献した。

系統解析では,太陽光発電(PV)が多数連系される低圧系統の回路方式に対応可能な不平衡潮流計算手法や,単相・三相負荷(発電)別の接続可能容量計算手法などを開発し,連系申込時の技術検討に必要な解析技術の向上に貢献した。

系統運用では,配電用変電所の負荷時タップ切換変圧器(LRT)の最適整定値を,配電自動化システムの蓄積データの統計分析により決定する手法,および自動電圧調整器(SVR)や無効電力補償装置(SVC)の協調制御手法などを開発し,電圧適正化のための技術向上に貢献した。また,配電用変電所の送出潮流から,その下流に連系されるPV出力を推定できる手法を開発し,系統事故時などの潮流管理の技術向上にも貢献した。

さらに,対策機器として,急峻な電圧変動にも対応可能な低圧系統用自動電圧調整機器(LVR)や,高圧需要家の受電力率を適正に保ち,フェランチ現象を抑制する高圧需要家向け新型力率改善装置(電気科学技術奨励賞,澁澤賞受賞)を開発するなど,配電系統の電圧適正化のための装置開発に貢献した。

これらの成果については,電気学会論文誌Bなどに数多く掲載され,学術面からも貢献した。