部門長のご挨拶

 電力・エネルギー部門長 中島 達人(東京都市大学)

             
  •  日頃より電力・エネルギー部門(B部門)の活動に対し,多大なるご理解とご協力をいただき,厚く御礼申し上げます。このたび,歴史ある本部門の部門長を拝命しました中島達人(なかじま・たつひと)でございます。編修担当役員や次期部門長としての経験を糧に,本部門が多様な技術者・研究者の「集いの場」となり,価値ある情報を発信するプラットフォームとなるよう,誠心誠意尽力する所存です。みなさまからの忌憚のないご意見やご提案を真摯に受け止め,部門の発展に向けて改善を積み重ねていきたいと思います。
 
  •  私たちを取り巻く世界情勢は極めて不透明な状況にあります。世界各地での局所的紛争は,物価上昇やエネルギーセキュリティの問題として生活に影響を及ぼしています。B部門は,学会組織の立場ではありますが,電力系統,電力機器,再生可能エネルギー,環境技術など,幅広い領域を網羅している強みがあります。この強みを活かし,さまざまな事態に対しても強靭(レジリエント)で,かつ柔軟に対応可能な社会基盤を構築していくことに向け,B部門は技術面・学術面から重要な役割を果たせるのではないかと思います。
 
  •  以下では,B部門の今後の主な取り組み案を示します。
 
  • (1)カーボンニュートラル実現への貢献
  •  B部門では,2050年のカーボンニュートラル社会の実現を見据え,中間点となる『ビジョン2030』を策定しました。このビジョンを具現化するため,デジタル化,脱炭素化,分散化といった技術課題に焦点を当てて部門大会,研究会,講演会等の活動を進めるとともに,他部門や他分野の学会との連携・協業による創発効果を期待したいと思います。
 
  • (2)部門大会のさらなる充実
  •  部門大会は,最新の研究成果の発表や技術者・研究者の交流の場として,おかげさまで毎年多くの方々のご参加をいただいています。今後もさらに多くの発表者・聴講者のみなさまに関心をお寄せいただけるように,技術トレンドを踏まえたセッションを構成していきます。また,特定のテーマを深堀りするオーガナイズドセッションの拡充や,長時間をかけてさまざまな講演と総合討論を行う座談会の企画,さらには時代を先導する魅力ある講演者を招いての特別講演を充実させていきます。新型コロナ以降,オンラインでの会議が日常となってしまった私たちですが,face-to-faceでの対話の価値をこれからも大切にしたいと思います。
 
  • (3)若手人材の育成強化
  •  大学院生や企業の若手社員などの若手会員は,B部門の将来を担う重要な人材ですが,入会会員数の低迷や,学生員としていったん入会した大学院生が企業就職後に早々と退会してしまう傾向は,残念ながら依然として続いています。部門誌,部門大会,研究会などにおいて若手会員にも魅力あるコンテンツを提供していくとともに,若手を対象として小人数での勉強会やセミナーの企画や,論文掲載料や部門大会参加費の一部を補助する制度に取り組んでいきます。同時に,大学や企業の方々には,学生や若手社員のみなさんに向けて電気学会B部門への入会をぜひお薦めいただきたく,末永いご協力をよろしくお願いいたします。
 
  • (4)部門誌への取り組み
  •  B部門誌および共通英文論文誌(B)では,長年培われてきた「丁寧な査読」という良き伝統を堅持しつつも,投稿から採否決定に至るプロセスの迅速化を通じて会員サービスの向上に努めていきます。生成AIを用いた翻訳・添削ツールの急速な発展に伴い,海外の学会への英語論文投稿は格段に容易になり,Impact factorやSciValの評点の上で英語論文に優位性があることは周知のとおりです。しかし,研究成果を和文ですばやく読みたい,というニーズは今後とも続くものと考えられます。部門誌の意義をよく認識しながら論文査読と部門誌編修を続けていきたいと思います。
 
  •  さて,私が1984年に電気学会に学生員として入会して42年が過ぎました。この間には,自分の研究発表の拙さに気づかされ,他の方々の素晴らしい成果に触れて深い感銘を受けました。大学や企業の垣根を超えた面識を得て,専門知識に留まらない多くの教えを授かることができました。AI技術は急速に進化していますが,個体としての記憶や感情を持つ人格は,AIにはまだ存在していないそうです。想い出を懐かしみ,感情を分かち合える人間とは,なんと恵まれた存在なのでしょう。B部門がこれからもみなさまにとって,大切な交流の場となるよう努力していきたいと思います。
 

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