部門長のご挨拶

電力・エネルギー部門長 本山 英器(電力中央研究所)

  •  この度,B部門長を拝命し,身が引き締まる思いです。皆様のご意見,ご要望を真摯に受け止め,B部門が集いの場,有益な情報を発信する場となることを目標に尽力する所存です。ご協力の程よろしくお願いいたします。
 
  •  さて 11月の米国大統領選挙を前に,選挙結果で生じうる不測の事態に備える動きが世界中で活発化しています。日本でも「もし …」に対処できるよう,産官学がそれぞれの立場から準備を進めています。振り返れば,COVID-19の流行や世界情勢を急変させた争いの勃発を誰が予想できたでしょうか。これらの不測の事態は,急激な円安の進行,資源高騰による物価上昇,地政学的影響によるエネルギー価格と物流コストの上昇など,社会的に不安定な状況を生み出しています。特に,電力・エネルギー分野は,不測の事態に左右されやすい,最も脆弱な分野の一つです。近い将来起こりうる「もし…」を事前に察知し,十分な対策を講じると共に,ひとたび事が起これば敏感に反応することが肝要です。
 
  •  B部門は,電力系統/機器からエネルギー変換/環境に至るまで,幅広い分野を網羅しています。これを鑑みますと,様々な課題に対処可能な社会システムの構築に,B部門の果たす役割は大きいと考えます。会員の皆様と共に,社会のより良い発展に貢献していきたいと思います。
 
  •  これまで B部門は,「ビジョン2030」,「ビジョン 2030ビヨンド」を策定してきました。エネルギートランジションが急速に進行する中,これらのビジョンを具現化することは,これからの社会システムを作る上で極めて重要な取り組みと考えます。特に,「デジタル化」,「脱炭素化」,「分散化」は激変するエネルギーを取り巻く環境に対処するために重要な課題です。また「エネルギー効率の最適化」,「持続可能性(SDGs)」は,循環型経済に基づく社会インフラを創成するために不可欠なキーワードです。新しい社会インフラの実現のために B部門は明確なターゲットを掲げた力強い組織であり続ける必要があります。
 
  •  以下に,私見を含めて今後の活動目標を述べます。
 
  • (1)「ビジョン 2030ビヨンド」の実現
  •  「ビジョン 2030ビヨンド」の実現に向け,電力・エネルギー分野はもとより,法律や保険などの異分野/異業種との協力・協創を促進します。また,個々の情報を全体でシェア可能な,「AI等の技術を用いた知識情報バンク」の構築を検討します。
 
  • (2) 専門領域の拡大と研究会機能の拡充
  •  様々な研究者/技術者が集い,議論を行う場を創成し,専門領域の拡大と研究会機能の拡充を目指します。また,種々の活動を通じ,B部門が電力・エネルギー分野の「知識と情報のプラットフォーム」としての役割を果たしていきます。
 
  • (3) 若手会員の育成
  •  若手会員の育成は喫緊の課題です。それには B部門が魅力的な場であることが重要です。日常業務に役立つ最新情報が溢れ,いつでも学ぶことが可能な場,そして若手もベテランも集える場を創出します。また,若手会員の初期教育は所属組織に一任されていますが,B部門も若手会員の育成に積極的に関与し,大学/企業が負担する教育コストの削減に貢献したいと考えます。
 
  • (4) 女性会員の活躍の促進
  •  日本のジェンダーギャップ指数は先進国中最下位で,改善が必要です。性別による蔑視を排除し,能力を正しく評価する環境が必要です。女性会員が,研究者/技術者として活躍できる環境,学べる環境,研究/活動の成果を発信できる環境を整えることに取り組んでいきます。
 
  • (5) 論文誌の充実
  •  貴重な研究成果は和文研究会資料・和文論文のみに留めることなく,積極的に世界に発信すべきです。B部門は,以前より「丁寧な査読」により論文の質の向上に努めてきました。この活動をさらに深化させ,論文投稿の奨励と共に,掲載論文数の増加と論文誌の充実を図りたいと思います。さらに英文論文投稿支援策を充実させることで,世界につながる研究成果の創出を促したいと思います。
 
  •  「夢追うのに早い遅いはない。追うかどうかだ。」これは日本地図を描いた伊能忠敬の言葉といわれています。私も会員の皆様とともに,大きな夢を追い,B部門の発展に力を尽くしていきたいと思います。
 

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