令和3年 電力・エネルギー部門「研究・技術功労賞」および「部門活動特別貢献賞」受賞者

2021/08/31

電力・エネルギー部門(B部門)では,長年,地道な活動を続けてこられ,技術の発展に貢献された研究者または技術者の方々の労に報いるとともに,電力・エネルギー分野技術の更なる発展を図ることを目的とし,平成18年から,部門表彰制度として「研究・技術功労賞」を設けております。また,部門の活動に関する特に著しい貢献に対して,令和3年から「部門活動特別貢献賞」を新たに設けました。研究調査運営委員会および部門役員会での審査の結果,令和3年の「研究・技術功労賞」および「部門活動特別貢献賞」の受賞者は,以下の通り決定いたしました。受賞者は,オンラインで開催されました令和3年電力・エネルギー部門大会の特別企画(8月25日)にて紹介されました。

 

件名 受賞者 受賞理由
研究・技術功労賞

「電力用高電圧遮断器の開発および標準化への貢献」

亀井 健次 殿
〔三菱電機(株)〕

 

 

45年以上にわたり電力用高電圧遮断器および大電力試験技術開発に従事し,関連する研究および電気学会等の調査活動や標準化活動において顕著な成果を残した。特にUHV GCB(超々高電圧遮断器)の開発では,その開発初期から参画し,当時の設備容量限界を超過する大電力試験を実施するための試験設備構築や,新しい試験法の開発において大きく貢献した。その後,UHV対応開発の成果と知見に基づいて2010年より,電気学会UHV国際標準化 兼 TC122国内委員会に参画し,UHV系統における遮断責務を明らかにして,日本の技術の優位性をCIGREやIECを通じて世界にアピールし,日本技術の国際規格(IEC)への反映に大きく貢献した。これらの成果により,三菱電機は電気学会より東電PG他とともに「第14回でんきの礎」の顕彰を頂いた。

2000年代には開閉極位相制御GCB開発に従事し,制御アルゴリズムの考案や実系統での実証試験などを通じて開発を牽引し,製品化を達成した。その功績により,関東電気協会より平成18年電気関係事業従業員功労者表彰 考案表彰最優秀賞を受賞した。また高電圧遮断器の遮断責務に関する幅広い知見に基づいて国際的調査活動にも参画し,CIGRE WG A3.13「変化する系統条件と責務」(技術報告 No. 335, No. 336)等の活動において貢献した。電気学会では5つの調査専門委員会に参画し,精力的に活動して顕著な貢献を果たした。

研究・技術功労賞

「配電系統の運用・管理・保守技術の発展への貢献」

柴田 道博 殿
〔北海道電力ネットワーク(株)〕

 

 

長年にわたり配電用機材の研究・開発,系統連系技術の研究・開発に従事し,配電系統の運用・管理・保守技術の発展に貢献してきた。

配電用機材の研究・開発では,配電線事故時に事故箇所を探査する装置の開発に従事し,軽量・小型化した装置を完成させ,事故復旧の迅速化と効率化を図った。系統連系技術の研究・開発では,分散型電源が高圧配電系統に連系する際の検討業務を支援するソフトウェアなどを開発して当該業務を迅速かつ的確に処理できるようにし,分散型電源の系統連系の円滑化に寄与した。

このほか,次世代の配電ネットワークに欠かす事のできない,潮流計測機能や断線検出機能等を具備したセンサー開閉器の開発や,これらを活用した配電系統の潮流監視および電圧調整の高度化・高機能化に関わる研究開発に携わり,北海道電力の配電系統の運用・管理・保守技術の発展に大きく貢献するとともに,社内研修や論文発表等を通して後進の育成にも貢献した。

部門活動特別貢献賞

「オンライン開催のための基盤構築による部門活動の活性化」

飯岡 大輔 殿
〔中部大学〕

 

新型コロナウイルス感染症が拡大し,国内で初めて緊急事態宣言が発令(2020年4月7日)される中,対面で行っていた研究会等の部門の諸活動は,中止もしくは延期をせざるを得ない状況になった。また,部門の最大のイベントである令和2年B部門大会(東北大学)の開催についても中止すべきか,実施すべきか,最終判断の岐路に立っていた。このような状況下において,オンライン開催の実現に向け,先導して部門としてのオンライン会議システム(Webex, Zoom)の契約を締結するとともに,運用方法をマニュアル(Web会議システムの利用について)としてまとめ,部門の標準化マニュアルとして配布した。このような取り組みが進んでいたことから,部門大会はオンライン開催とすることで決定に至った。本成果は,部門大会用のオンラインマニュアルの作成,ひいては,ポスターセッションを中止する等規模を縮小しての開催となる中で806名の参加に繋がり,部門収支の改善に大きく貢献した。また,部門役員会等の各種部門会合の円滑なオンライン開催を可能にし,特に研究会については令和元年度28件に対して令和2年度25件の開催となり,微減に留めることができた。このように,コロナ禍における部門の諸活動を支えるオンライン開催のための基盤構築を行うとともに,部門大会,研究会等の開催に多大な貢献をした。