電力需給解析の標準モデル

はじめに

 地球温暖化抑制や環境負荷低減の観点から、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用した発電設備の導入が世界レベルで推進されている。我が国においても 2012年7月から始まった再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度により、分散電源が急速に普及している。分散電源が大量に導入されると、局所的には配電線の電圧上昇・変動、広域的には周波数変動や電源調整力不足といった安定な電力供給を脅かす問題が懸念されている。

 特に需給・周波数問題の対策については、今後さらなる分散電源の導入に加え、蓄電池の活用やデマンドレスポンスに見られる負荷側コントロール等新たなアプローチを視野に入れた検討も必要となってきており、従来の需給制御技術では十分に対応できない可能性が考えられる。

 このような背景から、需給・周波数制御への影響に関する研究が盛んに行われているが、その影響を実系統で検証することが困難なため、その多くは計算機シミュレーションにより検討されている。その一方、需給・周波数制御のシミュレーション用解析モデルは研究ごとに開発・構築されており、シミュレーション結果の客観的評価が困難となっている。

 電力需給解析モデル標準化調査委員会(委員長:東北大学 斎藤浩海)は、再生可能エネルギー利用発電設備やスマートグリッド技術の導入・普及による電力需給の将来の大きな構造変化に対応した需給制御技術の開発に資するため、電力系統の需給・周波数制御に関して共通の基盤で効率的に実施できる計算機シミュレーション用標準モデルの構築を目的として、平成26年4月~平成28年3月まで活動し、以下の電力需給解析の標準モデルを作成した。

電力需給解析の標準モデル

 電力需給解析の標準モデル(以下、AGC30モデル)では、時々刻々変化する電力の需要と供給の不均衡(インバランス)によって生じる電力系統の周波数偏差や連系系統での連系送電線の電力潮流変化などを求めるシミュレーションを実施することができる。

 AGC30モデルで対象とする電力需給解析・シミュレーションの範囲と主なモデルは以下の通りである。また、初心者のユーザを支援するために、シミュレーション開始時に必要な発電機出力初期値を決定するための簡易発電計画ツールも用意している。

AGC30モデルの概要

電子データ(CD-ROM)の頒布

 AGC30モデルは解析例題と併せて、電子データ(CD-ROM)にて頒布いたします。なお、発電機モデルなどの標準モデルはMATLAB/Simulink™、需要や分散電源出力などの標準データはcsvファイルで提供しています。電子データ(解析例題)の実行に必要なMATLAB/Simulink™のバージョンは以下の通りです。

MATLAB/Simulink™ R2014b

  • オプションのToolboxは、CD-Rの電子データを実行するだけであれば不要です。
  • MATLAB/Simulink™ライセンスでもHome版、Student版などはモデル数(ブロック数)制約があるため、正常に動作しない場合があります。
  • R2014b以外のバージョンでは正常な動作は保証いたしません。
    (上位バージョンでも実行できない、あるいは実行できても結果が異なる場合があります。)

※1 MATLAB/Simulink™はMathworks社の制御系設計ツールです。

※2 参考 PCの仕様については、Microsoft Windows 7(64bit)、メモリ4GB,HDD500GBで動作することを確認しています。

MATLAB/Simulinkのホームページ