用語解説 第10回テーマ: プラグイン(電気自動車,ハイブリッド自動車)

2020/08/20

片岡 泰宏 〔東京電力(株)〕

1. プラグインとは

1.1 概要

一般的にプラグイン(plug-in)とは,プラグとコンセントで電力を供給する機器のことである。電気自動車(以下,EV)やハイブリッド自動車(以下,HV)におけるプラグインは,EV やHV に搭載されている蓄電池を充電するために使用されるプラグとコンセントを指したり,「充電」を意味したりする。

1.2 普通充電用プラグイン

家庭用電源AC100/200Vでプラグインすれば,2~3kW 程度の電力で充電できる。蓄電池の容量が20~30kWh の場合,完全放電に近い状態であれば充電完了までAC100V で約14 時間,AC200V で約7 時間かかる。

現在,国内で幅広く使用されているコネクタは,米国自動車技術協会(以下,SAE)のSAE-J1772 仕様に準拠しており,米欧においても最も使用されている。


図1 EV,PHVの普通充電


図2 普通充電用コネクタ

1.3 急速充電用プラグイン

前述の普通充電では充電時間を要するため,急速充電方式が開発されている。急速充電するためには,容量の大きな充電装置が必要となるため,車両側で電力を交流から直流へ変換するのではなく,直流により直接充電する方式が採られている。

EV への急速充電は,50kW 出力の急速充電器を用いると5 分間で40km 程度,10 分間で60km 程度の走行分が充電できる。なお,車種毎に蓄電池の状態が異なることから,急速充電器の場合は,車両側から蓄電池の種類,充電電圧などの情報を充電装置に伝達しないと充電ができない。そのため,コネクタには情報信号を伝送するための端子が必要となる。

急速充電は,電圧で300V 超,最大電流で125A という通常の家電製品とは比較にならない大きな電流が流れる。また,一般のドライバーがコネクタの脱着操作を行うことを前提としており,無人にて運用されることも想定されるため,安全性の確保,特に感電に対する防護策が求められている。


図3 EVの急速充電


図4 急速充電用コネクタ

2. 国際標準化

普通充電用コネクタの国際標準化は,現在IEC の場で日本が単相200V 規格案を提示したが,ドイツとイタリアがそれぞれ三相400V 規格案を提示しているため,この3 案をベースに検討が進められている。

急速充電用コネクタの国際標準化については,2009 年にSAE へ(財)日本自動車研究所(以下,JARI)案を提示したが,米国ベンチャー企業の規格案との両案を軸に検討が進められている。また,2010 年3 月には,JARI 案をIEC にも提案している。

文献

(1) 丸田理:「電気自動車の充電システム」,電学誌,Vol. 130, No. 12, pp.824-827 (2010-12)

(2) CHAdeMO協議会:http://www.chademo.com/jp/index.html

【電気学会論文誌B,131巻8号,2011に掲載】