用語解説 第30回テーマ: 負荷周波数制御(LFC)

2020/08/24

天野 博之 〔(一財)電力中央研究所〕

1. はじめに

時々刻々変動する需要に対して,負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)や経済負荷配分制御(EDC:Economic load Dispatching Control)などの需給制御技術によって,常に需要と供給が釣り合うように発電機の出力調整・制御が行なわれ,周波数の変動が抑えられている。

2. 負荷周波数制御(LFC)

LFC とは,定常時における電力系統の需給バランスをとるため,系統周波数や連系線潮流の変化を検出して,発電機の出力を変化させる制御のことをいう。なお,AFC(Automatic Frequency Control)と呼ばれることもある。LFC は,需要変動のうちの主に数分から20 分周期程度の変動成分を吸収している。それより長い周期の変動成分に対しては,EDC によって予測に応じて先行的に最も経済的となるように各発電機の出力が調整される。また,それより短い周期の変動成分は発電機のガバナフリー制御(回転数を一定に保つように出力を変化させる制御)や負荷特性(自己制御性)によって吸収される。これらの制御分担の概念図を図1 に示す(1)


図1 制御分担の概念図(1)

現状LFC は水力発電機・火力発電機の制御によって行なわれているが,近年の研究では蓄電池,電気自動車,ヒートポンプ等の活用による応答性の向上や調整力の確保なども期待されている。

文献

(1) 「電力系統における常時及び緊急時の負荷周波数制御」,電気学会技術報告,No.869 (2002)

【電気学会論文誌B,133巻,8号,2013に掲載】