用語解説 第31回テーマ: センサ付開閉器

2020/08/25

前川 博昭 〔関西電力(株)〕

1. センシング機能の種類

センサ付開閉器とは,主に配電系統に設置され,内蔵センサにより当該地点の潮流や電圧等を測定できる開閉器のことである。主なセンシング機能を表1 に示す。表1 に示す計測情報は,主にセンサ付開閉器と組み合せて使用する子局を介して伝送路により収集され,電力品質管理精度の向上や公衆保安の確保等を図る目的に使用される。

表1 センシング機能の一例

センサ 計測情報
CT(Current Transformer) 電流
PD(Potential Device)
VT(Voltage Transformer)
電圧
ZCT(Zero-phase-sequence Current Transformer) 零相電流
ZPD(Zero-phase-sequence Potential Device) 零相電圧

2. 主なセンサ情報の活用

(1) 高精度な状態監視

近年の太陽光発電等の分散型電源の大量普及に伴い,季節や時間帯によっては配電系統への逆潮流により配電系統の電圧上昇等の影響が考えられるため,センサ付開閉器を用いることで,従来に比べ,より高精度な系統状態を把握することが可能となる。

(2) 制御機器による処理情報

監視制御機器と組み合わせることで,計測情報から力率,不平衡電圧,地絡事故発生時の地絡方向の判定,断線検出等の情報を取得することが可能となる。

3. 今後の動向

センサ付開閉器により多くの計測情報を取得し様々な用途への活用が期待されるが,収集周期や情報量に見合った伝送路の構築が不可欠であり,効果とコストの両立が求められる。

文献

(1) 電気協同研究会:電気協同研究,Vol.66, No.2 (2011)

(2) 出岡 充,他:電気現場技術,Vol.50, No.591, pp.41-45 (2011)

【電気学会論文誌B,133巻,9号,2013に掲載】