用語解説 第39回テーマ: 日射予測

2020/08/26

大関 崇 〔(独)産業技術総合研究所〕

1. はじめに

太陽光発電の大量導入時には,電力系統の需給バランス制御やEMS などの蓄電池運用を行うために,太陽光発電の発電予測,またその入力の日射予測が利用される。日射予測とは,日射強度予測[kW/m2],日射量予測[kWh/m2] を含み,同様に発電予測とは,発電電力予測[kW],発電電力量[kWh] を含む。ここでは,日射予測に関して説明する。

2. 日射予測について

日射予測は,各種気象データを予測する技術と,予測データを入力にして日射,発電を推定・変換する技術で構成される(図1 参照)。


図1 日射予測の構成概要

各種気象データのうち,数値予報モデルは,気象学における各種物理過程で構成され,高度な計算機を利用して計算される。気象庁の数値予報モデルには全球モデル(20km),メソモデル(5km),局所モデル(2km)がある。数値予報モデル出力を一般に利用しやすいように変換されたものが格子点値データや天気予報データである。衛星観測データおよび天空画像データは画像データ等であり,過去のデータに基づき外挿等により予測される。これらの予測された気象データを入力して日射データ(発電データ)に推定・変換することで日射(発電)予測を行う。変換モデルには,統計モデル,数理モデル,機械学習モデルなどが利用される。予測のタイムスケールに関しては,現状では前日の予測には数値予報モデル等,当日の短時間には衛星観測データ等を用いることが予測誤差の面で有利である。また,数分程度の短時間予測には時系列データのみを利用した手法もある。

日射予測は,今後における太陽光発電の大量導入には必要不可欠な技術である。

【電気学会論文誌B,134巻,6号,2014に掲載】