用語解説 第45回テーマ: パワーコンディショナ

2020/08/27

藤井 幹介 〔富士電機(株)〕

1. はじめに

パワーコンディショナ(以下,PCS)は,太陽電池や蓄電池といった直流電源と交流である系統の間に接続されるパワーエレクトロニクス機器である。太陽電池に接続される場合は,太陽電池が発電する直流電力を系統に出力するために用いられる。また,蓄電池に接続される場合は,蓄電池の充電や放電のために用いられる。本稿では,太陽電池用途のPCS について概説する。

2. 太陽光発電用PCS の回路構成

太陽光発電用PCS の回路構成を図1 に示す。太陽電池は,PCS の入力電圧範囲に合わせて直列し,またPCS 容量(kW)に合わせて並列してから,PCS の直流入力部に接続される。PCS 内では,太陽電池の直流電力が,直流/交流変換回路により交流電力に変換され,系統に出力される。直流ブレーカ・交流ブレーカは,事故時以外は常に閉状態になっており,コンタクタは,発電中に閉,停止中に開状態になっている。

図1 に示す昇圧回路とインバータからなる直流/交流変換回路は,家庭用PCS で採用されている単相3 線やV 相接地用(三相回路の1 相を接地)の回路で,メガソーラーでは,昇圧回路のない三相インバータ回路が採用されている。


図1 太陽光PCS

この昇圧回路では,電流,温度,日射量で変化する太陽電池の電圧を一定の直流電圧に変換する。さらにインバータ回路において,交流に変換することで系統に出力することができる。昇圧回路には,スイッチングによるリプル電流を太陽電池側に流さないようにするコンデンサを設ける。また,インバータには,矩形波上の電圧を正弦波に変化させるリアクトルとコンデンサからなるフィルタ回路を設ける。

PCS は,今後のさらなる導入量の拡大のために高効率化,低コスト化が求められている。そのため,新しいパワーデバイス(SiC やGaN)を用いた製品開発が行われている。

【電気学会論文誌B,134巻,12号,2014に掲載】