用語解説 第53回テーマ: 海底ケーブル

2020/08/31

榊原 広幸 〔古河電気工業(株)〕

1. はじめに

離島への送電や洋上風力発電等の送電には海底ケーブルが用いられる。本解説では,海底ケーブルの仕様に関して簡潔に記す。

2. 海底ケーブルの仕様

一般の地中送電ケーブルに対して,海底ケーブルは布設時や使用時の張力・外傷等に耐えうる様に,がい(鎧)装を有することを最大の特徴とする。また,常時海中にさらされることから,海底ケーブル全てではないが水密導体や鉛被遮水層等の一般地中送電ケーブルにない仕様を付加する。

海底ケーブルは,「電気設備の技術基準」解釈第127 条に「水底電線路の施設」として,その仕様等のあり方が記載されている。これを基準として,布設環境(漁業形態,海底の底質など)を考慮してがい装の仕様を決める。表1 に,絶縁体種別,シース種別,がい装種別,防食層種別に関して,海底ケーブルで使用する主な略号を示す。

表1 海底ケーブルで使用する主な略号

高圧以上の海底ケーブルでは,現在は鉛被一重鉄線がい装架橋ポリエチレン絶縁ケーブル(WCLWA)が主流である。近年,浮体式洋上風力など,海中でのケーブル挙動を考慮し,疲労特性などを向上させた専用のケーブル(ダイナミックケーブルまたはライザケーブル(1))の開発も行われている。

文献

(1) 南出雅裕,他:「福島浮体式洋上ウインドファーム実証試験ライザケーブルの布設」,平成26 年電気学会全国大会,Vol.7, pp.186-187 (2014)

【電気学会論文誌B,135巻,8号,2015に掲載】