用語解説 第62回テーマ: コージェネレーション

2020/09/24

池上 貴志 (東京農工大学)

1. コージェネレーションとは

コージェネレーションシステム(CGS,Co-generationSystem)とは,“電気エネルギー”と“有効な熱エネルギー”を共に(co-)生成する(generate)システムのことであり,欧米ではCombined Heat and Power(CHP,熱電併給)とも呼ばれている。化石燃料を燃焼してタービンを回して発電する際,熱力学第二法則より,化学エネルギーの100%を電気エネルギーに変換することはできない。現在の高効率な火力発電所でも電気エネルギーに変換できる割合(発電効率)は60%程度であり,残りは熱エネルギーとして排出される。通常は捨てられていたこの熱を“有効な熱エネルギー”として活用することで,総合エネルギー効率を高めたシステムである。熱を有効に利用するには熱の需要地近傍にて発電を行う必要があり,分散型エネルギーシステムとして期待されている。

2. 負荷の熱電比とCGS の熱電比

負荷の熱電比(電力負荷に対する熱負荷の割合)は,建物用途によって異なり,一般にホテルや病院では熱負荷の割合が高く,業務ビルでは電力負荷の割合が高い。季節や時間帯によってもこの割合は変化する。一方,供給設備であるCGS においても,発電設備の種類によって熱電比は異なり,例えばガスタービンによるCGS と比べて燃料電池によるCGS は,発電効率が高く熱電比は小さい。

3. 熱主電従運転と電主熱従運転

CGS の熱電比と負荷の熱電比を常に一致させることは難しいため,一般には電気と熱のどちらかの負荷に合わせた運転となる。熱負荷に合わせてCGS を運転し,電力量の過不足は系統電力等で補う方式を熱主電従運転という。一方,電力負荷に追従して運転し,熱量の過不足をボイラ等の他の設備で補う方式を電主熱従運転という。また,どちらにも追従せずに効率の良い定格出力で運転を行い,電力・熱ともに不足分を別の設備で補う方式も用いられている。負荷特性に合わせた最適な機器構成,補助設備の選択や適切な運転方式の選択が重要である。

文献

(1) 一般財団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センターHP,http://www.ace.or.jp/
(2) 資源エネルギー庁:コジェネ基礎データ集 (2012)

【電気学会論文誌B,136巻,5号,2016に掲載】