用語解説 第70回テーマ: 自動電圧調整型柱上変圧器

2020/09/25

渡辺 雅浩 〔(株)日立製作所〕

1. はじめに

配電線の低圧系統に太陽光発電設備が連系される場合,昼間時間帯の逆潮流により,低圧系統の電圧が上昇することが懸念される。この場合,連系用インバータの電圧上昇抑制機能が働き,発電出力が抑制される場合がある。この対策候補として,柱上変圧器に設けたタップを自動で切り替えて低圧系統の電圧を調整する自動電圧調整型柱上変圧器が開発されている(1)~(3)

2. 機器の回路構成と動作原理

装置の基本構成は,6.6kV の電圧を100/200V に降圧する柱上変圧器に,タップ切換器およびタップ切換器を自律的に制御する制御装置を組み合わせて,二次電圧を自動的に制御する機能を持つ。回路構成の詳細を文献(1)を例に説明する。装置の概観を図1 に,回路構成を図2 に示す。主変圧器低圧側に単巻変圧器を直列に接続し,分路巻線側にタップを設けて開閉器によって切り替えを行う構造としている。分路巻線に入力電流と負荷電流の差分の小さな電流が流れるようにすることで,開閉器の小形化が図られている。また,タップは1 段階のみとし,タップ電圧は3V が選択されている。


図1 外観図(1)


図2 回路構成(1)

文献

(1) 阿部紀彰,他:「低圧系統の太陽光発電による逆潮流発生時の電圧調整変圧器の開発」,平成22 年電気学会電力・エネルギー部門大会,No.184 (2010)
(2) 「自動電圧調整型柱上変圧器」,愛知電機技報,No.33 (2012)
(3) 辻 祐毅,他:「オートタップチェンジャ付柱上変圧器の開発」,高岳レビュー,No.57 (2012)

【電気学会論文誌B,137巻,1号,2017に掲載】