用語解説 第71回テーマ: VQC

2020/09/28

植田 喜延 〔(株)明電舎〕

1. はじめに

VQC(Voltage and reactive power Control:電圧・無効電力制御)とは,電圧安定性の維持や送電損失の低減等を目的として,発電機無効電力,変圧器タップ,調相設備などを制御して系統の電圧・無効電力を基準値となるように調整する制御機能である。個々の発変電所を対象とする「個別制御方式」と系統全体を対象とする「中央制御方式」があり,併用される場合もある。「中央制御方式」は大規模な情報伝送路と計算能力を必要とすることから,超高圧系統以上を対象とする場合が多い。

2. 制御モード

VQC の主な制御モードとしては,変圧器の一次電圧(高圧側)と二次電圧(低圧側)を制御するV1-V2 制御,二次電圧と一次無効電力を制御するV2-Q1 制御,二次電圧のみを制御するV2 制御がある。

図1 に示した制御平面を用いて変圧器タップと調相設備を併用したV2-Q1 制御の動作概要を説明する。


図1 V2-Q1制御平面

V2 が上昇した場合(制御平面中の不感帯よりも上)において,Q1 が不足している場合(不感帯の左上)には,SCの開放またはShR の投入を行うことで,V2 とQ1 の両方を調整する。Q1 が不足してない場合には,変圧器タップを下げることでV2 のみを調整する。

また,Q1 過多の場合(不感帯よりも右)において,V2 が超過している場合(不感帯の右上)にはまず変圧器タップを下げることでV2 を調整する。V2 が超過していなければ,ShR の開放またはSC の投入によりQ1 を調整する。

【電気学会論文誌B,137巻,2号,2017に掲載】