用語解説 第89回テーマ: 海洋エネルギー発電

2020/10/01

田村 滋 (明治大学)

1. はじめに

日本は海に囲まれたおり豊富な海洋エネルギーがあることから,再生可能エネルギーの一つとして海洋エネルギー発電技術への関心が高まっており,研究開発が進められている。世界的には海洋エネルギーの技術開発は欧米,特にイギリスを中心に進められており,発電出力の予測可能性が高い再生可能エネルギーとして注目されている。海洋エネルギーを用いた発電技術には様々な種類があり,ここではその主なものを紹介する。

2. 海洋エネルギーを用いた発電技術の種類

(1) 波力発電

波のエネルギーを利用したもので,①発電装置内に空気室を設け,海面の上下運動によって生じる空気室内外の圧力差により空気タービンを回転させて発電する方式,②海面の上下運動を可動物体(振り子など)の機械エネルギー等に変換して発電する方式,などがある。

(2) 潮流発電

潮流の運動エネルギーを利用し,海中あるいは海底にプロペラ状の水車を設置し,回転エネルギーに変換して発電する方式。

(3) 海洋温度差発電

海水の表層と深層の温度差を用いる発電方式。図1 に示すように,蒸発器でアンモニアは表層水の熱より蒸気となり,タービンに送られて発電した後,凝縮器で深層水により冷やされて液化するサイクルを繰り返すものである。

文 献

(1) 伊藤正治:「海洋エネルギーとは」,電学誌,Vol.134, No.6 (2014)

【電気学会論文誌B,138巻,8号,2018に掲載】