用語解説 第96回テーマ: FIT 【固定価格買取制度】
2020/10/05
山本 祐司 〔電源開発(株)〕
1. はじめに
FIT とは,平成23 年8 月26 日に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を意味する。同制度がドイツ・アメリカなどの諸外国で“Feed-in Tariff ”として導入されていることから,上記特措法及びその制度をFIT と総称している。FIT は,再エネの利用促進のために電気事業者による調達をその設備区分等に基づき価格と期間を定めたものである。
FIT 導入以前の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS 法:Renewable Portfolio Standard)との主な相違点は,RPS では電気事業者への利用目標量の義務化に対して,FIT では目標量は定めず,再エネ事業者の認定,例外事項を除く電気事業者に対して認定事業者との特定契約の義務化が挙げられる。
2. FIT 導入後
再エネ導入主体が電気事業者から再エネ事業者へと変化し,事業を維持できる価格と期間を設定したことで,太陽光発電が大量に認定・導入された(図1)。
図1 再エネ導入量の推移(1)
一方で,既存系統の空容量不足により系統連系ができない設備や再エネ買取費用の増大などの課題が浮き彫りとなった。こうしたことから,制度開始3 年目以降より価格が引き下げられ,平成29 年度以降からは,大規模太陽光発電については総量を定めた入札制度に変更された。また,認定事業者のうち未稼働の再エネ事業者に対して稼働期限が義務付けられる等の対策も取られたが,再エネ出力抑制等の解決すべき課題も多い。
文献
(1) 「再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック」,資源エネルギー庁 (2018)