用語解説 第103回テーマ: 経済DR(デマンドレスポンス)

2020/10/06

小島 康弘 〔三菱電機(株)〕

1. 需給運用とDR

東日本大震災以来,DR(デマンドレスポンス:需要家応答)を活用した需給ひっ迫対策が検討されている。需給ひっ迫時の需給調整は系統運用に必要な供給力・予備力の確保が目的で,DR 指令はエリア需給を管理するエリア中給(中央給電指令所)から発動される。一方,DR を需給運用の経済性向上に寄与させるという考え方がある。本稿では,このような考え=経済DR について解説する。

2. 経済DR の考え方

現在の需給運用は,電力事業者(送配電分離後の一般電気事業者および新電力など)による計画値同時同量(30 分単位)と,前述のエリア中給による需給バランス制御(秒から数分単位)から構成される。計画値同時同量では,発電・販売のそれぞれの計画値を事前に策定する。需要想定が変化した場合,計画値を事前に見直すことで,実績値を一致させる。必要な電力調達は,発電機の出力調整と,卸電力取引市場での取引とを,経済メリットを考慮して決定する。この電力調達の代わりに,電力調達コストより需要調整のために需要家に支払う報酬の方が安価で経済メリットがある場合,この需要調整のことを経済DR と呼ぶ。

例えば,卸電力市場価格>小売単価の場合,市場価格よりも低い報酬で需要抑制(節電)すれば経済的にメリットが得られる。図1 に示す通り,DR 応答量とDR 効果を乗じて得られるDR による事業利益曲線は途中に極大値を持っており,報酬単価には市場価格に応じた最適値が存在する。


図1 経済DRにおける報酬と事業利益の関係

文 献

(1) スマートコミュニティにおけるエネルギマネジメント,第5 章 CEMS,スマートグリッド編集員会編(2015)

【電気学会論文誌B,139巻,10号,2019に掲載】