用語解説 第110 回テーマ: ガス遮断器

2020/10/08

真島 周也 (東芝エネルギーシステムズ)

1. ガス遮断器とは

ガス遮断器は主に66 kV 以上の電力系統に配備されている系統用のブレーカーであり,負荷電流の切替えに加え,系統故障時の過電流を速やかに遮断する機能を有する。ガス遮断器が電流を遮断する際は,まず接触子の開極を行う。開極後の接触子間には,約2 万度に達する高温のアーク放電が発生し,アークを通じて電流が流れ続けるため,電流を遮断するためには当該アークを消滅(消弧と称す)させる必要がある。そのため,低温のガスをアークへ強力に吹付けてアークを消滅させる工夫がなされている。

2. 近年のガス遮断器の研究開発動向

ガス吹付けのためには上流のガスを昇圧させる必要がある。従来のガス遮断器では機械的なガスの圧縮動作(パッファ動作)が主体であったが,近年は,解析・シミュレーション技術の向上により,高温のアークによる熱膨張作用を活用する方式(自力形と呼ばれる)が主流となりつつある。自力形遮断器では,従来は一つであった昇圧室を自力室と圧縮室の二つに分け,熱膨張による大きな圧力上昇が圧縮室のピストンに過大な反力として掛からないように工夫されている。これにより,ガス遮断器の駆動装置は駆動力の大きい油圧操作機構から,低コストのばね操作機構へと変貌を遂げつつある。また,ガス遮断器の絶縁ガスには従来SF6 ガスが用いられているが,SF6ガスは大気漏洩した際の温暖化作用がCO2 ガスの23,500 倍と非常に大きいため,SF6 を使用しない代替ガス遮断器の研究開発が近年盛んに行なわれている。代替ガスの候補としてはCO2 ガスにO2 ガスを混合させたものや,フッ素系の新しい人工ガスを添加したものなどが提案されている。


図1 従来型遮断器と自力型遮断器の比較

文 献

T. Mori, et al. : “Gas flow simulation in GCB chambers featuring hot gas energy”, IEEJ Trans. PE, Vol.125, No.8, pp.771-776 (2005)

【電気学会論文誌B,140巻,5号,2020に掲載】