用語解説 第113 回テーマ: 蓄電池の健全性評価技術(SOH)

2020/10/09

水谷 麻美 〔東芝インフラシステムズ(株)〕

1. 蓄電池の健全性評価

充放電可能な蓄電池(以下,蓄電池と記載)は,電気自動車などの移動体への適用,電力需給のバランス維持や電力の安定供給,余剰電力貯蔵など,社会の基盤となるデバイスとなっている。長期の使用を前提とする社会インフラへの適用では,蓄電池の劣化状態を把握し,適切なタイミングで保守対策を行い,機能維持を図ることが重要となる。蓄電池の劣化状態に関しては主に「蓄電池容量」と「内部抵抗」の2 つの指標がある。一般的に,蓄電池の劣化に伴い,蓄電池容量は低下し内部抵抗は増加する。この2 つの指標を用いた健全性評価について解説する。

2. 健全性評価技術(State Of Health : SOH)

蓄電池は使用される条件によって劣化の傾向が異なることが知られている(1)。図1 に,現在までに考案・検討されている健全性評価技術として蓄電池容量・内部抵抗の測定・推定手法の例を示した。専用装置による測定や特定試験パターンによる推定手法では,精度よく劣化の認識が可能であるが,蓄電池装置の運用中に評価することができない。一方で,運用中の充放電データから劣化を推定する手法も提案されているが,精度という点で課題があると考えられる。


図1 健全性評価のための手法例

運用中は運用デ-タから劣化の傾向を認識し,劣化の傾向が明らかになった時点,あるいは定期点検などで専用装置や特定試験パターンを用いての精密検査をするなど,運用と状況に合わせた評価手法を適用することが望ましい。

文献

(1) 乾 義尚・坂本眞一・田中正志:「インピーダンスと起電力に基づくリチウムイオン電池の劣化と電圧応答の検討」,電学論B,Vol.136, No.7, pp.636-644 (2016)

【電気学会論文誌B,140巻,8号,2020に掲載】