用語解説 第114 回テーマ: 振動発電

2020/10/09

伊藤 雅彦 〔(一財)電力中央研究所〕

1. はじめに

振動発電は,産業機器の振動,建造物の振動,あるいは人体運動等の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する技術である。得られる発電量はごく微小ではあるが,環境中に存在する未利用のエネルギーから電力を作り出して利用する環境発電技術(エネルギーハーベスティング)の1 つとして近年注目され,研究開発が盛んに行われている。

2. 振動発電の方式と特徴

振動発電の発電方式は,その原理・方法によって,「電磁誘導」「静電誘導」「逆磁歪効果」「圧電効果」の4 種類に分けられる。4 種類の方式は,メカニカルな構造を利用するのか,材料特性を利用するのか,あるいは磁場の変化を利用するのか,電場の変化を利用するのかで分類することができる。表1 にそれぞれの方式の特徴を比較して示す。各方式ともに長所と短所があり,また,振動発電の性能には素子の大きさ,取込む振動源の振動特性など発電方式以外にも様々な要因が関わってくるため,振動発電素子の選定にはその使用方法や適用場所の条件などを十分に勘案することが求められる。このように現状では導入時の検討事項の多さが普及の足枷となっているものの,大量のセンサが使われるようになるIoT(モノのインターネット)社会においては,電池や電源配線を代替・補完し,メンテナンスや交換が不要の電源として様々な分野で使用されることが期待されている。

表1 各振動発電方式の特徴

【電気学会論文誌B,140巻,9号,2020に掲載】