用語解説 第102回テーマ: CFD(数値流体力学)

2020/10/06

岩田 幹正 〔(一財)電力中央研究所〕

1. はじめに

CFD とはComputational Fluid Dynamics の略で数値流体力学と呼ばれる技術である。航空機,自動車,化学プロセスなどの様々な分野において,流体の運動を数値解析で予測することにより各種機器・設備の設計などに活用されている。CFD 解析においては,流体場の質量保存則,運動量保存則およびエネルギー保存則の基礎方程式などを解くことに加えて,多くの物理現象を考慮する必要があることが多い。例えば,化学反応による流体の組成の変化やエネルギーの発生・吸収,電子やイオンを含む流体による電磁気的な現象などが挙げられる。現在では,無料で使用できる計算コードから市販のソフトウェアルまで多くのCFD解析ツールが流通しており,それぞれの特徴を活かしつつ目的に応じて使い分けられている。

2. CFD 解析例

電力流通機器の設計・開発においてもCFD 解析が用いられている。例えば,SF6 ガス吹き付け遮断器において,その遮断成否に関わる電流零点近傍のアークの減衰過程が,電磁流体方程式も用いて解析されている。また,スイッチギヤ内で万一の短絡故障によりアークが発生した場合を想定した解析も行われており,図1 に実験結果とともに示す。アーク発生後10 ms 程度でラプチャーディスクが動作し,アークが発生した区画の圧力が変化する様子が実験結果と概ね一致していることが分かる。


図1 スイッチギア内のアーク発生時の圧力上昇(電流:20 kA)(1)

文 献

(1) 「中電圧スイッチギヤの対応規格と技術動向―2002 年以降の動向―」,電気学会技術報告,No.1436 (2019)

【電気学会論文誌B,139巻,9号,2019に掲載】

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