用語解説 第104 回テーマ: ダイナミックレーティング

2020/10/06

清水 雅仁 〔中部電力(株)〕

1. 背 景

電力系統を安定的に運用するために,送変電設備は設計により使用条件が規定された電流容量を下回る運用容量で運転している。近年,再生可能エネルギーの導入量増大に伴い,電流容量制限への対策や設備の有効活用の観点から運用条件の緩和が求められており,ダイナミックレーティング(Dynamic Rating)技術が注目されている。

2. ダイナミックレーティング技術

ダイナミックレーティングは送変電設備の状態を常時監視し,電流容量を現地の状況に合わせて変化させて運用する技術である。設備の新・増設を伴わないことから,低コストで実質的に電流容量の増加を図ることができる。

例えば,自然環境の影響を大きく受ける架空送電線の電流容量は,過去の気温,風速,日射量の気象観測データから最悪条件を定め,熱による電線の機械的強度低下が問題とならない連続許容温度で運用する方法が,これまで用いられてきた(1)。しかし,再生可能エネルギーの導入が進んでいるヨーロッパでは,図1 に示すように現地の気温や風速,電線温度や弛度を実測し,動的に系統運用状況を解析し,送電線の送電容量を増やす試みが,近年,行われている。


図1 架空送電線におけるダイナミックレーティングの適用イメージ

今後,現地観測する各種観測データの取得方法やそのコストの低減,気象予測精度の向上や実運用時のコントロール方法などの技術開発が進むことにより,より効率的な送変電設備の運用が期待される。

文 献

(1) 電気学会確率論的電流容量決定手法調査専門委員会:「架空送電線の電流容量」,電気学会技術報告,No.660 (1997-12)

【電気学会論文誌B,139巻,11号,2019に掲載】

用語解説Webセミナー 第4回「ダイナミックレーティング」のページへのリンク

用語解説のまとめページ