用語解説 第120回テーマ: 地点別限界価格(LMP)

2021/03/05

簑津真一郎 〔電源開発(株)〕

1. はじめに

地点別限界価格(Locational Marginal Price,あるいはLocational Based Marginal Price)は,ノーダル価格(Nodal Price)とも呼ばれ,系統内の各ノード(または地域)において「電力の発電・送電に関わる費用」および「系統内に発生する機会費用」を反映した短期限界費用(Short-Term Marginal Cost,あるいはSpot Price)の考え方に基づき設定される価格である。

2. 地点別限界価格

地点別限界価格Pjt は次式のように表すことができる。

Pjt
= MC(G)jt + MC(L)jt + OC(PF)jt
= 増分燃料費+増分送電損失+混雑費用

MC(G)jt: 時間 t のノードj の発電限界費用(増分燃料費)あるいは,需要家の限界便益,
MC(L)jt: 時間 t にノードj の発電量(需要量)の単位変化量が系統全体の損失に及ぼす影響(増分送電損失),
OC(PF)jt:時間 t のノードj の送電容量制約によって生じる機会費用(混雑費用,あるいは送電容量制約違反による社会厚生の損失)。

電源地点から需要地点に向かう送電線で混雑が生じた場合,混雑費用が発生し,需要地点の地点別限界価格は電源地点より高くなる。結果として,混雑が生じた系統に託送を要請する事業者は,地点別限界価格の地域差にあたる価格を託送料金として電力市場の運営者(あるいは送電系統の運用者)に支払うこととなる。

文 献

(1)「新規参入による送電網混雑を考慮した送電料金設定方式」,電学論B,Vol.119, No.12 (1999)
(2)「競争環境下の新しい系統運用技術」,電気学会技術報告,No.1038 (2005)

【電気学会論文誌B,141巻,3号,2021に掲載】

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