用語解説 第123回テーマ: ブロックチェーン
2021/06/03
岡田 卓也 〔三菱電機(株)〕
1. ブロックチェーンとは
従来の非中央集権型取引システムには,多重支払いや取引の改竄が簡単に可能という問題があった。
この非中央主権型取引システムの問題を解消する技術として,ブロックチェーンが考案された。ブロックチェーンは,図1 に示すように情報をブロック単位で保存し,そのブロックを鎖上に繋げ保存するデータベースである。ブロックチェーンは,点在する計算機へのブロックの検証権限分散により,「個人取引が可能」「改ざんが極めて困難」「実質ゼロ・ダウンタイム」といった特徴を実現する。
図1 ブロックチェーン概念図
2. 国外電力業界の活用例
アメリカのTransactive Grid が立ち上げた地域内で自家発電電力を相互供給するマイクログリッドシステム,「Blooklyn Microgrid」(以下,電力取引システム)を紹介する(1)。
電力取引システムは,ブロックチェーンを活用し,中央集権的処理をなくした電力取引,取引透明化による不正取引防止を可能にする。ブルックリン市は50 戸が電力取引システムを利用し,ソーラーパネルなどの発電機を持つ住民と,近隣の住民同士がマイクログリッドで繋がり再生可能エネルギーを相互に供給する。
電力取引システム利用者は,スマートメータを自宅やオフィスに設置する。スマートメータは,既存電力網から電力を購入するか,マイクログリッドから電力を調達するかを決定し,ブロックチェーンによりネットワーク安全性を保ちながら,電力取引を管理する。電力取引システムにおける電力取引は,まず,電力生産者のスマートメータが発電量を検知し,ブロックチェーンプラットフォーム上にクレジットを生成する。電力消費者が生成されたクレジットを購入することで,生産者に電力使用料金が入金され,電力消費に伴い,クレジットが消失する。
文 献
(1) 日南みろく:「地球に優しいエネルギーを、お隣さんから買おう。ブルックリン発、電力会社に頼らずに住民間での電力取引を実現した「Brooklyn Microgrid」」,グリーンズ (2016-9-4) https://greenz.jp/2016/09/04/brooklyn_microgrid/(参照2021-2-18)