用語解説 第124回テーマ: 広域需給調整

2021/07/05

小島 康弘 〔三菱電機(株)〕

1. 広域需給調整

電力の需給調整は,従来からエリア毎の調整を基本としながら連系線を活用した予備力持合い等で広域運用メリットを実現してきた。これに対し,さらなるコスト低減を目的に,一般送配電事業者の自主的取り組みとしてゲートクローズ後の需給調整の広域化(=広域需給調整)が中部電力・関西電力・北陸電力の3 社で検討され,沖縄電力を除く全9 社にこの枠組みが拡大されることとなった。

2. 広域需給調整システム

広域需給調整システム(以下KJC : Keystone Japanese Coordinating system)は,各エリア中給と接続する制御系システムである(1)。KJC は各エリアから90 分先までのインバランス想定量とエリアで確保したメリットオーダリストを受信し,広域需給調整演算結果として連系線の調整量αを各エリア中給に配信する。各エリア中給は調整量αを加味した需要に対して最適負荷配分制御(EDC)を行う。

広域需給調整演算は,(1) インバランスネッティング:エリア毎のインバランス量を相殺し全体の調整力発動量を削減する機能と (2)広域メリットオーダ:全エリアで調達した調整力をコストメリット順に発動する機能で構成される。

KJC は2020 年4 月に中部電力・関西電力・北陸電力で本運用を開始し,2021 年3 月からは全9 社の本運用に移行している。今後,2022 年度からは広域メリットオーダに基づきインバランス料金が算定・公開される予定である。


図1 広域需給調整演算

文 献

(1) T. Ochi, et. al. : Development of “Keystone Japanese Coordinating system”, for energy balancing”, C2-120, CIGRE (2020)

【電気学会論文誌B,141巻,7号,2021に掲載】

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