用語解説 第125回テーマ: 雷サージ保護デバイス(SPD)

2021/09/03

清水 雅仁 〔中部電力(株)〕

1. SPD と避雷器の違い

雷サージ保護デバイス(Surge Protective Device:以下SPD)は電力・通信の機能を維持し,重要な役割を果たしている機器を雷サージから保護するために使用される。以前は,使用される対象・用途により「避雷器」「保安器」「アレスタ」「サージプロテクタ」などさまざまな名称で呼ばれていたが,現在では高圧線路以上に使用されるものを「避雷器」,低圧線路や信号線路に使用するものを「SPD」と分類している(1)

2. SPD の種類

表1 にSPD の種類,使用されている素子および特徴を示す。電圧スイッチング型SPD に分類されるエアギャップやガス入放電管GDT(Gas Discharge Tube:以下GDT)は雷サージに対し瞬時(ns オーダ)に反応し,処理可能なエネルギーも大きいが,動作後の続流を遮断することが難しい。そのため,電源用SPD には一定以上の電圧に対し電流を通電する非線形抵抗素子の金属酸化物バリスタ(Metal Oxide Varister:以下MOV)が広く用いられている。SPD の取付にあたっては,使用用途や保護対象,想定するサージの大きさ・波形(エネルギー量)を決定し,性能面・容量面で適合した素子を用いたSPD を使用することで,サージを効果的に抑制できるように設計する。

表1 SPDの種類と特性

種類 使用素子等 特徴
電圧
スイッチング型
SPD
・エアギャップ
・ガス入放電管(GDT)
・サージ防護サイリスタ
雷サージに対し瞬時に反応する
電圧制限型
SPD
・金属酸化物バリスタ
(MOV)
・アバランシブレークダウン
ダイオード
続流を遮断することが可能
複合型SPD 上記2 種類のSPD の特徴をあわせ持つ

電源用SPD では,直撃雷に伴うサージの侵入が想定されるエリアの保護レベルを「クラスⅠ」,直撃雷だけでなく雷撃により生じる電磁界や誘導電流から機器を保護するエリアの保護レベルを「クラスⅡ」と分類し,多重に設置されたSPD にて侵入してくる雷サージを抑制する。

文 献

(1) JIS C 5381-1 (IEC 61643-11):「低圧配電システムに接続する低圧サージ保護デバイスの要求性能及び試験方法」(2014)

【電気学会論文誌B,141巻,8号,2021に掲載】

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