用語解説 第130回テーマ: FIP 制度 (Feed In Premium)

2022/01/11

滝波 力 〔東京電力ホールディングス(株)〕

1. FIP 制度の概要

再エネ特措法(2012 年7 月施行)でFIT(Feed In Tariff:固定価格買取)制度が導入され太陽光発電が大幅に増加した。

同法施行後2020 年度末までにFIT 制度が抜本的に見直され,電力市場への統合を推進する制度が検討された。検討の結果,FIT に続く制度として欧州等で導入が進んでいるFIP(Feed In Premium)制度を念頭に制度設計され,再エネ特措法の改正を含むエネルギー供給強靱化法が2020 年6 月成立(2022 年4 月施行),FIT 制度に加えて市場連動型のFIP 制度が制定された。

FIT 制度とFIP 制度の違いについて,下図に概要を示す。

FIT 制度が市場価格の変動に関係なく固定価格で買取るのに対して,FIP 制度は発電事業者が卸市場等で売電した時に一定のプレミアム(供給促進交付金)が支払われる制度である。

2. FIP 制度による再エネの市場統合の推進

再生可能エネルギーの電力市場統合を推進し,主力電源化する事を目的に作られたFIP 制度では,認定事業者に対し再生可能エネルギー以外の電源と同様に市場取引可能となる事を目指している。

すなわち,発電した電気を事業者が取引すること,インバランスの発生を抑制するインセンティブを持たせることが求められている点がFIT 制度との大きな違いである。

FIT 制度では発電事業者に免除されていたインバランス抑制義務が課されるとともに,バランシングコストがプレミアムに加算される制度となっている。

バランシングコスト合理化等を目的として発電事業者がオンライン制御可能である事が認定要件であり,アグリゲータの活用についてもFIP 制度に盛り込まれている。

こうして現状のFIT 制度下の規制を緩和し,アグリゲータが自然変動電源,調整可能電源,DR や蓄電池等を組み合わせたBG(Balancing Group)を組成しバランシングコストの低減に寄与する事が可能な制度設計を行っている。

【電気学会論文誌B,142巻,1号,2022に掲載】

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