用語解説 第132回テーマ: ZEH (Net Zero Energy House)

2022/03/09

末永 晋也 〔(株)日立製作所〕

1. はじめに

ZEH(Net Zero Energy House)とは,「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに,高効率な設備システムの導入により,室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で,再生可能エネルギーを導入することにより,年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」(1)である。簡単に言い換えると,家で消費されるエネルギーよりも,再生可能エネルギー電源から創出されるエネルギーの方が多い住宅のことであり,2050年カーボンニュートラル達成のためにも,普及が望まれている。

2. ZEH の普及に向けて

ZEH は,図1 に示す特徴を備えている。例えば,テレビや照明を省エネ性能の高いものに交換したり,外壁や屋根,窓を高断熱なものに変更したりすることで消費エネルギーを低減すると共に,太陽光発電設備を設置して,消費エネルギーよりも大きなエネルギーを創出することでZEHを実現できる。より多くの住宅がZEH を目指すことで,消費エネルギーの低減と,再生可能エネルギーの導入拡大の両面に寄与し,脱炭素化に貢献できる。


図1 ZEH(Net Zero Energy House)の特徴(1).

そこで,各国ではZEH やZEB(Net Zero Energy Building)の普及と実現に向け,目標を設定して取組んでいる。日本においても政府支援のもとZEH・ZEB の普及が進められてきた。2021 年度に策定された第6 次エネルギー基本計画(2)では,2030 年度以降新築される住宅・建築物について,ZEH・ZEB 基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す,とする目標を設定し実現を目指している。

文 献

(1) 資源エネルギー省HP:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html
(2) 第6 次エネルギー基本計画HP:https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005-1.pdf

【電気学会論文誌B,142巻,3号,2022に掲載】

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