用語解説 第135回テーマ: DER(分散型エネルギー資源)
2022/06/07
小田 拓也 (東京工業大学)
1. DER(Distributed Energy Resources)とは
需要家が所有するエネルギーの供給,消費,需給調整に関連した制御対象機器や運用計画の総称。ここでいう機器や計画には,例えば,再生可能エネルギーやコージェネレーション(熱電併給)などの分散型電源(DG),需要家が使用する電気自動車や蓄電池,空調機や給湯器などの熱利用機器,およびエネルギー需要を制御する需要応答(DR)などがある。
2. 背 景
需要家が発電するようになるだけでなく,利用機器の電化や大型化も進んでいる。一方,これらの機器はそれぞれ機器単体の効用に応じて導入が進んだ。このため従来,様々な機器を連携して運用したり,外部の制御を受け入れたりすることは稀であった。
3. DER に対する期待
電力システムの合理化に向けて,取引を通じて電力の需給調整を行う仕組みの構築が進められている。一方,IoT の高度化によって需要家の利用する機器をきめ細かく運用・管理することが可能になった。これら双方の状況から,前述するような需要家機器を用いて電力の需給調整に活かすことが想定されるようになった。これらを実現する際の制御対象機器や運用計画を,分散型エネルギー資源(DER)と呼ぶ。なおDER を運用管理する機能や仕組みは,DERMS(Distributed Energy Resources Management System)という。
災害発生時,DER を活用することによって通信やエネルギーを供給できる可能性が高まる。このように,地域のレジリエンス性の強化に貢献することも期待されている。
参考資料
(1) 経済産業省資源エネルギー庁:「VPP・DR に関する用語一覧」,(アクセス日:2022 年2 月21 日)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/term.html
(2) 経済産業省資源エネルギー庁:「取り組み事例の紹介」(アクセス日:2022 年2 月21 日)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/case.html