用語解説 第163回テーマ:ペロブスカイト太陽電池
2024/10/02

福濱 大河〔SWCC(株)〕
1. 再生エネルギーを利用している太陽電池
気候変動問題の解決に向けて,温室効果ガスの排出削減が急務となっており,2020年10月に政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,カーボンニュートラル宣言をしました。カーボンニュートラルに取り組むために,温室効果ガスであるCO2 排出量の削減が必要であることから再生可能エネルギーが注目されています。再生エネルギーを利用した発電として,太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池があります。
2. 発電の仕組み
異なる半導体が接する面である接合面に光が当たるとそのエネルギーにより電荷(キャリア)が発生します。太陽電池の発電層は正の電荷(ホール)がキャリアであるp型半導体と,負の電荷(電子)がキャリアであるn型半導体の異なる半導体を接合しています。生み出されたキャリアは,半導体内の電位差により移動し,電極から電力を取り出すことができます。
3. ペロブスカイト太陽電池
現在は半導体材料にシリコンを使用している太陽電池が主流ですが,ペロブスカイトを利用している太陽電池の開発が進められており,令和5年のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合で開発・実装が取り上げられている(1)新しい電池です。ペロブスカイトを使用することは,3つの利点があります。1つ目は結晶構造に陰性の強いハロゲンを含むことから,極性が強く溶液に溶かして塗布・印刷をすることができることです。2つ目は塗布・印刷により軽量で柔軟なフィルムにすることができ,持ち運びも可能となることが特長です。3つ目はハロゲンであるヨウ素は日本の生産量が第二位であるため,材料の確保がしやすいことです(2)(3)。
図1
資源エネルギー庁ウェブサイトhttps://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html から引用(2024/6/19 アクセス)(2)
文献
(1) 環境省ホームページ:https://www.env.go.jp/earth/g7/2023_sapporo_emm/ (2024/6/19 アクセス)
(2) 資源エネルギー庁ウェブサイト:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html (2024/6/19アクセス)
(3) 宮坂 力:大発見の舞台裏で!ペロブスカイト太陽電池誕生秘話,さくら舎 (2003)