用語解説 第179回テーマ:配電自動化システム

2026/02/01

松枝 剣 〔富士電機(株)〕

1. はじめに

配電自動化システムとは各電力会社の営業所等から配電線の開閉器や電圧調整器などを遠隔で監視・制御をするシステムである。配電自動化システムは昭和50 年代より各電力会社へ導入が始まり,以来電力供給の安定化に貢献している。
配電自動化システムは,主に配電線路上の開閉器や電圧調整器とそれを制御するための通信用子局,通信用子局の情報を集約するTC(Telecontrol Equipment:遠方監視制御装置)および実際に監視制御を行うコンピュータから構成される。

2. 配電自動化システムの事故復旧の仕組み

配電自動化システムの基本かつ最も重要な機能として配電線事故の自動復旧機能がある。例えば,強風などによる樹木の倒壊により配電線が切断された場合,変電所にある保護リレー装置により直ちに当該配電線が遮断され,配電線事故が発生したことが配電自動化システムに通知される。配電自動化システムでは事故が発生した区間の前後の開閉器を遠隔で切り離し,それ以外の健全な停電区間を別の配電線から電力供給を行う。この一連の動作を全自動で行うことで,停電時間を大幅に削減し,電力供給の信頼性向上に貢献している。

3. 配電自動化システムの今後

近年,太陽光発電など再生可能エネルギーの導入量が増加した結果,電圧の急峻な変動や,従来は変電所から需要側へ一方向に流れていた潮流が逆転する事象が発生しており,系統運用上の課題となっている。今後電気自動車の普及拡大に伴い家庭用充電器が各戸に設置されることで三相間の電流不平衡が拡大し,電圧品質の悪化や設備への過負荷リスクの増大が懸念される。また,蓄電池や再生可能エネルギーのさらなる導入拡大により,配電系統の潮流状態がより複雑化し,既存の監視・制御システムではリアルタイム追従が困難となるおそれがある。これらの要因が複合的に影響し,配電系統の安定運用を確保するための技術的・運用的対応が急務である。また,人口減少による作業員の減少,高経年化対応などの一般的な課題もある。これらの課題に対して,スマートメータから収集されるデータを基にしたビッグデータ解析やAI による業務効率化や予防保全機能の強化,リアルタイムでの配電系統状態の把握など,配電自動化システムのさらなる進化が欠かせない。すでに導入から40 年近く経過している配電自動化システムであるが,時代に合わせた進化を続け今後もエネルギーインフラを支える重要なシステムであり続けるだろう。

【電気学会論文誌B,146巻,2号,2026に掲載】

用語解説のまとめページ