令和8年 電力・エネルギー部門「研究・技術功労賞」および「部門活動特別貢献賞」受賞者
2026/11/05
電力・エネルギー部門(B部門)では,長年,地道な活動を続けてこられ,技術の発展に貢献された研究者または技術者の方々の労に報いるとともに,電力・エネルギー分野技術の更なる発展を図ることを目的とし,平成18年から,部門表彰制度として「研究・技術功労賞」を設けております。また,部門の活動に関する特に著しい貢献に対して,令和3年から「部門活動特別貢献賞」を新たに設けました。部門役員会での審査の結果,令和8年の「研究・技術功労賞」および「部門活動特別貢献賞」の受賞者は,以下の通り決定いたしました。受賞者は,令和8年電力・エネルギー部門大会の特別企画(9月17日)にて紹介されました。
■研究・技術功労賞(五十音順)
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小林 隆幸 殿[株式会社 東芝 (受賞当時:東芝エネルギーシステムズ株式会社)]
「変電機器の実用性向上および国際標準化への貢献」 |
【受賞理由】
受賞者は,変電機器技術の第一人者として,長年に亘り実フィールドにおける変電設備運用経験に基づく知見を活用し,変電機器の実用性能向上のため,使用者視点からの機器性能分析,要求性能レベルの明確化,仕様の合理化に取り組まれた。また,電力各社や機器製造メーカと協働して,国内の変電機器品質向上と標準化を促進する技術討議に主導的役割を果たされ,国際競争力のある技術発展に大きく貢献された。
国内においては,JEC規格の開閉装置一般要求事項標準特別委員会委員長(JEC-2390),ブッシング標準特別委員会委員長(JEC-5202)をはじめ各機器規格委員を歴任され,特にJEC-2390では,その制定に向けた立ち上げから,国際規格に比肩する規格体系整備に取り組まれた。さらに,電気学会B部門静止器技術委員会委員長や電気協同研究会「負荷時タップ切換装置の保守・点検ガイドライン委員会」副委員長,「ポリマーがい管の設計基準・試験法の標準化委員会」副委員長を務められるなど,変電機器が具備すべき性能・技術要件と機器設計・製造の合理性の両立に関する産学を通じた深い議論と認識共有を推進された。その結果,国内製変電機器の世界トップレベルの高い信頼性と実用性の維持・向上に大きく寄与された。
また,国際活動においては,CIGRE SC B3「変電所と電気設備」の国内分科会委員長を務め,日本の変電機器・運用技術を発信することで日本のプレゼンス向上に貢献された。また,国際動静を的確に捉え,CNの観点でのSF6代替ガス機器の開発・導入が急務であることを国内でいち早く提唱し,産学連携した民間有志研究会として,平成28年よりSF6代替ガス検討会を発起,初代委員長に就任された。この検討会において,代替ガス機器が具備すべき要件を定義することで,開発目標を明確化,その後の国際情勢の中で,国内電力,製造者ともに世界の技術開発を牽引する今日の日本のプレゼンス発揮の立役者とのなったことは特筆すべき貢献と言える。こうした実績が認められ,平成28年度電気学会フェロー(貢献内容:変電所設備の設計技術・保守技術の高度化)に認定されている。
このように,長年にわたるB部門への研究・技術の発展に大きく貢献しており,「研究・技術功労賞」に推薦する。
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日野 悦弘 殿[三菱電機株式会社]
「高電圧試験法の開発および標準化と人材育成への貢献」 |
【受賞理由】
受賞者は,約40年にわたり一貫して電力用高電圧機器の高電圧試験技術の研究・開発に従事し,関連する研究活動,ならびに電気学会等の調査・標準化活動において顕著な成果を挙げた。特に雷インパルス電圧試験の「k-factor」評価手法の研究では,波形パラメータと絶縁破壊特性の相関を解明するための膨大な実験データを提供し,定義の確立に大きく寄与した。本成果はIEEE等の国際学術誌に掲載され,国際規格IECへの導入に向けた議論においても極めて貴重な技術的知見として活用された。
また,電気規格調査会(JEC)では長年,委員および幹事として尽力し,日本の高電圧試験規格の根幹を成すJEC-0203、0204、0401の制定・改正において主導的な役割を果たした。国際規格との整合を図りつつ,日本の電力事情に即した合理的な試験法を体系化した功績は極めて大きい。
さらに,JHILL委員・幹事やJABの技術分科会委員・主査と試験所技術審査員を歴任し,JEC-0204及び対応国際規格に適合する高電圧測定システムの国内校正トレーサビリティ体系の構築や,JHIL高電圧技能試験の運用による国内試験所の技術レベル維持と国際的な相互承認(ILAC/MRA)の基盤整備に貢献した。これにより,日本の電力機器メーカーが国際競争力を維持・強化するための不可欠なインフラである「試験の信頼性」を長きにわたり支え続けている。加えて,2022年度および2023年度には,高専において電気学会寄付講義(電力工学)を担当するなど,次世代人材の育成にも精力的に取り組んでいる。
以上のように,候補者は高電圧試験技術という電力システムの信頼性を担保する基幹技術において,研究開発から標準化,公的認定制度の運用,教育に至るまで多方面で顕著な功績を挙げたことから,「研究・技術功労賞」に推薦する。
■部門活動特別貢献賞
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藤岡 直人 殿[一般財団法人電力中央研究所]
「ビジョン2030/ビヨンドの実現に向けた各種部門活動の魅力向上と活性化への貢献」 |
【受賞理由】
受賞者は,電力・エネルギー部門において,部門ビジョン2030およびビジョン2030ビヨンドで提示した社会の姿の実現に向け,編修委員会,研究調査運営委員会,部門国際委員会等の委員長を歴任し,部門活動の魅力向上と活性化に大きく貢献してきた。
編修委員会委員長(2023~2024)としては,部門論文誌・ニュースレター等を通じた研究成果の発信力強化を推進する等,部門の専門性と社会的プレゼンスの向上に寄与した。また,高校生みらい創造コンテストの主催を通し,多数の将来を担う若手人材の育成に寄与した。
研究調査運営委員会委員長(2024~2025)としては,ビジョン2030ビヨンドに基づく技術委員会ロードマップの整理・ローリングを推進し,各技術委員会活動の着実な進捗と活性化を図った。さらに国際委員会においては,海外学協会との連携強化や国際シンポジウムの企画を通じ,B部門活動の国際展開と開かれた学術コミュニティ形成に貢献した。
これら一連の活動により,ビジョンが掲げる「専門性と多様性を有する魅力ある部門」の具体化,あるいは,人材の創出・育成や技術継承への貢献が大きいと認められるため,「部門活動特別貢献賞」に推薦する。


