用語解説 第180回テーマ:AGI(汎用人工知能),ASI(人工超知能)

2026/03/01

岡 靖典 〔関西電力送配電(株)〕

1. はじめに

近年,生成AI を中心とした技術革新が進み,人工知能(AI)が私たちの生活に広く浸透してきている。その中で,現在の特化型AI を超え,人間の知能に匹敵,あるいはそれを凌駕する能力を備えるAGI(汎用人工知能)およびASI(人工超知能)が,科学や産業,社会のあり方を根本から変革し得る可能性があることから注目されている。

2. 用語の定義

(1) AGI(汎用人工知能)

AGI(Artificial General Intelligence)は,人間と同等の幅広い知的能力を備えた汎用的な人工知能を指す。人間が持つような,学習,推論,問題解決,計画立案,コミュニケーションなどの多様な認知機能を統合的に扱える点が特徴であり,未知の課題に対しても自律的に思考し,適切な解決策を導出できることが期待される。なお,研究と技術進展の加速を背景に,2030 年までにAGI に到達するという見解も示されている。

(2) ASI(人工超知能)

ASI(Artificial Super Intelligence)は,AGI がさらに発展し,人間の知的能力をはるかに超える人工知能を指す。創造性や直感,複雑な意思決定など,あらゆる知的活動で人間を上回る可能性があるため,人間には解決困難な高度な問題に対しても有効な解決策を提示できると考えられる。また,AGI 自体がAI 研究者となり,AI 研究と自己改善を繰り返すことで,ASI に到達するという見方もある。

3. 今後と課題

AGI の実現により,専門領域を横断した総合的な問題解決が可能となり,設計・解析・制御・社会シミュレーションなど,多様な工学分野における知的作業の高度化が期待される。さらにASI の段階では,人類が抱える根源的課題の解決や,科学技術におけるパラダイムシフトをもたらし得るなど,人間の知性では到達困難な領域への貢献が見込まれる。一方で,特にASI に関しては,制御可能性の喪失(アライメント問題)や,人間の価値観と整合しない結果を生むリスクが指摘されており,技術的安全性の確保,倫理的ガイドラインの策定,国際的な規制枠組みの構築など,多面的なアプローチによる慎重な開発と運用が求められる。

文献

(1) TELESCOPE magazine ウェブサイト:https://www.tel.co.jp/museum/magazine/report/202507_01/?section=1 (2025/11/21 アクセス)
(2) ソフトバンクビジネスブログウェブサイト:https://www.softbank.jp/business/content/blog/202310/what-is-agi (2025/11/21 アクセス)

【電気学会論文誌B,146巻,3号,2026に掲載】

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