用語解説 第181回テーマ:LCOE(均等化発電原価)
2026/04/01
古栫 雅裕 〔山口東京理科大学〕
1. LCOE とは
LCOE(Levelized Cost of Electricity:均等化発電原価)とは,発電設備のライフサイクル全体にわたる総費用を総発電電力量で除して求められる指標である。一般的なLCOEは以下の計算式で表される(1)。
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ここで,t は時間(年),r は割引率,Ct はt 年に発生する総費用[円],Et はt 年の総発電電力量[kWh] をそれぞれ表す。費用には,資本費(建設費等),運転維持費,燃料費等が含まれる。この計算式により,建設から運転,撤去までの全ての費用を現在価値に割り引き,設備の運転期間全体で発電される総電力量で除することで,1 kWh あたりの発電費用が算出される。
2. LCOE の活用目的
LCOE は,設備費や燃料費の構成が大きく異なる電源技術間で経済性を比較するために用いられる。例えば,初期投資が大きく燃料費が小さい再生可能エネルギーと,初期投資が小さく燃料費が大きい火力発電を同一の基準で評価できる。この指標により,1 kWh の電力を発電するのに必要となる費用を統一的に評価でき,電源選択における経済性の判断が可能となる。米国や英国などでも使用されている国際的な評価手法である。日本では資源エネルギー庁が発電コスト検証ワーキンググループを通じて各電源のLCOEを継続的に評価しており,エネルギー政策における基礎資料として活用されている(2)。
LCOEは各電源の固有コストを評価する指標であるため,発電出力の変動性や系統への調整力貢献度,系統安定化への寄与などは対象外となっている。特に変動性再生可能エネルギーの大量導入時には,出力抑制や調整力確保に要する費用といった系統統合に要する追加費用を含めた評価が今後必要となる(1)。
文献
(1) 松尾雄司,他:「変動性再生可能エネルギー大量導入時の限界システムLCOE の評価方法に関する検討」,エネルギー・資源学論,Vol.43, No.4, pp.129-139 (2022)
(2) 資源エネルギー庁:「発電コスト検証に関するとりまとめ」,発電コスト検証ワーキンググループ令和7 年2 月報告書資料1 (2025)