用語解説 第182回テーマ:ドライエア絶縁開閉装置
2026/05/01
立川 慎吾 〔(株)明電舎〕
1. ドライエア絶縁開閉装置とは
電力設備において乾燥空気(ドライエア)を絶縁媒体として使用する開閉装置である。電力の安定供給を支える送変電機器において,開閉装置は系統切替えや事故電流の遮断を確実に行う必要があり,その信頼性は社会インフラの安全性に直結している。従来,開閉装置にはSF6 ガスを用いたガス絶縁方式が広く採用されてきた。SF6 ガスは優れた絶縁性能と遮断性能を持ち,装置の小型化や高信頼化に大きく貢献している。一方で,SF6ガスは地球温暖化係数が24,300 と極めて高く,近年の温室効果ガス排出削減の流れの中で使用削減が望まれるようになってきている。その代替えの一つとしてあげられるのが温室効果ガスを使用しないドライエア絶縁開閉装置である。
2. ドライエア絶縁開閉装置の概要
ドライエア絶縁開閉装置は金属製の密閉容器内に導体や遮断器などを収め,内部空間を乾燥空気で満たすことで,絶縁性能を確保する。空気は身近で安全な物質であるが,そのままでは湿度や不純物の影響により,安定した絶縁性能を得ることが難しい。そこで,水分を除去し,管理された状態の「ドライエア」として密閉容器内に封入し,圧力を高めることで,電力機器に適した絶縁環境を作り出している。遮断部には真空遮断器(VCB)を用いる場合が多く,
・ 電流の遮断は真空
・ 導体間・対地間の絶縁はドライエア
と役割を分担する点が特徴である。

3. 技術的課題
ドライエアはSF6 ガスと比較して絶縁性能,遮断性能が低いため,SF6 ガス機器と同性能を実現するためには真空遮断器の採用,高ガス圧力化,導体への絶縁コーティングなどの設計工夫が求められる。その結果,機器の大型化やコストの増大が大きな課題となっている。