平成30年度(第105代)電気学会会長 山口 博

2019/01/22

このたび、伝統ある電気学会の第105代会長を務めることになりました。これから1年間、会員の皆さまとともに学会の更なる発展のために、使命を果たすべく邁進してまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

電気学会は、「電気学術とその応用振興に向け知識を共有し将来の進歩拡充をはかる」ことを設立趣旨として、1888年(明治21年)5月に創立されました。本年が創立130周年となります。歴史を遡りますと、そこには、「エネルギーとしての電気の可能性」を信じ様々な挑戦を成し遂げた先達の事績があります。一方、今日、わが国にも、ネットワーク化、オープン化等の進展により、情報、人、組織、物流、金融が相互に結び付き、ビジネスや社会の在り方が瞬時に大きく変わる「大変革の時代」が到来しつつあり、まさに「電気の新たな可能性」を切り拓いていく時代を迎えています。電気工学は、産業、生活、防災、外交、貿易、防衛、医療福祉などあらゆる分野と密接に関係する学術分野ですから、電気工学が異分野と融合することで、イノベーションの可能性が大きく広がると期待できます。国が掲げる第5期科学技術基本計画においても、持続可能なエネルギー環境の実現に向けて、スマートコミュニティやインフラシステムの整備など、きわめて広範囲な分野で、電気工学関連分野の貢献と先導的かつ積極的な展開が期待されています。

電気学会が創立130周年を迎える今こそ、先達の挑戦者精神を学びつつ、「電気は社会のイノベーションを創出する原動力」であることを改めて確認し合い、「電気の新たな可能性」を拡げるために電気学会が果たすべき役割を皆さまとともに考え、実践していきたいと思います。電気学会は高度な専門家集団として、論文誌、国際会議等を通じてよりグローバルな情報発信力を高めていくとともに、部門横断で未来のスマート社会の構築に貢献すべく、技術マッピングや新たな取り組みの可能性の検討を進めてきております。創立130周年を迎える本年度は、これまでの活動を深化・発展させ、電気学会が「広く社会に開かれたイノベーションのプラットフォーム」の役割を果たしていけるよう条件整備を進めて参ります。これにより、様々な技術分野の融合を図り、学術界と産業界を繋ぐオープンな交流をさらに深め、グローバルスタンダードを見据えた社会の発展への貢献を果たしていきたいと考えています。また、電気工学の将来を担う若手中堅会員の皆さまの想いを学会運営に反映する仕組みを取り入れ、電気学会の更なる活性化を目指します。

電気学会は、会員の皆さまによって支えられており、電気工学に携わる会員の皆さまが自己研鑽する場であるとともに、大きな変化を迎えた社会の中で、「電気は社会のイノベーションを創出する原動力」であることを体現できる「広く社会に開かれたイノベーションのプラットフォーム」でありたいと思います。社会の発展への貢献、学会の更なる活性化を促進するとともに、若手からシニアの会員まですべての皆さまが電気学会を通じて、より一層ご活躍できるよう運営してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。