学会の大同団結を考える

2002/05/01

(社)映像情報メディア学会 会長 末松安晴
(社)情報処理学会 会長 鶴保征城
(社)照明学会 会長 北岡 隆
(社)電気学会 会長 原島文雄
(社)電子情報通信学会 会長 内藤喜之

私ども電気・情報関連の5学会会長は去る2月28日に集まって,学会が直面する問題と将来の発展に向けた施策について率直な意見交換を行いました。ここではその概要を会員の皆様にお伝えします。

ここ2年ほどの間に情報検索システムとその活用の世界は劇的に変化しました。すなわち,インターネットで世界的ネットワークにつながったサーバーに英語で情報を載せ,世界中からの学術論文や特許の検索にかかるような仕組みが急速に進展しました。そしてこのようなシステム上で引用されるかどうかが研究者としての業績とみなされるようになったのです。ところが,学術研究成果について国際的な発信源を持たない学会にとっては,その活動が世界の研究者技術者の目に触れることがなく,研究はまったく評価されないままになる恐れがあります。こうなると学会は国内だけに通用する懇親会になってしまいかねません。これは会員の皆様の望むところではないと思いますし,若い優れた研究者には学会は魅力ないものとなってしまいます。この問題は単に学会のアカデミックな役割の終わりを意味するだけでなく,ひいては大学およびハイテク産業の衰退につながることは必至です。

私どもは,現在の遅れを挽回する時間的余裕はあと1-2年しか残されていないと見ています。早急に事態の解決を図るため5学会合併のような時間のかかる大きな問題は棚上げにし,緊急にできることとして私どもは二つの課題があると考えました。一つは学会が協力して活動するための傘(アンブレラ)学会のような協力機構のあり方の検討をすること,もう一つは希望する学会が相互に利用できる国際的情報発信源の可能性を検討することです。この二点についてタスクフォースを作り,参加希望学会により半年以内に結論を出してゆくことになりました。その結果は会員の皆様にはタイムリーにご報告してゆきますが,学会の置かれた状況に対する危機感を共有し,学会運営に関心をもって協力いただくようお願い致します。